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2008年09月11日(木) 10時41分

パラリンピック 陸上の堀越信司選手、日本記録も決勝逃す毎日新聞

 【北京・石丸整】北京パラリンピックの10日の陸上男子千五百メートル予選で、堀越信司選手(20)=東京都北区=は自身の持つ日本記録を2秒以上更新したが、決勝進出は逃した。「パラリンピックに出られるから障害があって、よかった」と障害を笑い飛ばす日本選手団のムードメーカー。9日の五千メートルでも予選通過できず、北京での挑戦は終わった。早くも「次はロンドン」と4年後を見据えた。

 網膜に腫瘍(しゅよう)ができる病気で、生後40日目に右目の摘出手術を受けた。その後、左目が白内障になり、視野が30度、視力は0・06に落ちた。実家のある長野市の小学校を卒業後、父親も通っていた筑波大付属視覚特別支援学校(東京都文京区)に入学し、親元を離れた。

 陸上は中学の時に始めた。昨春、目白大学に進学したが、陸上部がなかったため学内で呼び掛け、部員5人で設立した。昨年8月のブラジル世界選手権では一万メートルで3位、五千メートルで5位に入った。

 千五百メートルに専念し始めたのは、昨年10月のジャパンパラリンピックで4分23秒を出してからだ。「パラリンピックに出られるかもしれない」と短距離のトラック練習を重ねた。3月の九州チャレンジ陸上で4分13秒を出し、出場を決めた。

 1人暮らしだが不便だとは感じない。虫眼鏡を使って本を読み、大学ではプリントを拡大してもらう。夢は大学院進学と、実業団で陸上を続けることだ。

 北京に来てから、国際パラリンピック委員会の検査で障害の程度が一つ重いクラスに変わった。だが「これで盲人マラソンに出られるクラスになった」と前向きに考える。

 10日のレース後、控室に戻る通路でしゃがみ込んだが、すぐに「かないませんでした。ロンドンまで倍以上練習します」と誓った。

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