記事登録
2008年09月10日(水) 02時30分

<事故米転売>佐賀県内の仲介業者はダミー会社毎日新聞

 三笠フーズ(大阪市北区)の汚染米転売問題で、殺虫剤・メタミドホスの汚染米をすべて受け入れていたとされる佐賀県内の仲介業者が、「工業用のり加工会社」を装ったダミー会社だったことが分かった。三笠フーズは「のり原料」をこの仲介業者に出荷したとする書類を作成していたが、実際はのり加工は行われておらず、仲介業者の社長は毎日新聞の取材に「頼まれてやった」と偽装協力を認めた。三笠フーズが正規の事故米取引であることを装うため、この業者を利用したとみられる。

【事故米食用転売】九州の菓子店も購入/美少年酒造は自主回収

 農水省や三笠フーズ社員によると、三笠フーズは06年度以降、基準値を超すメタミドホスが検出された餅米を国から約800トン購入。同社の倉庫で確認された約370トンを除く約430トンが出荷された。うち約135トンは流通過程の食品加工会社などで見つかり、残り約295トンが九州地方の米菓メーカーなどに流通したとされる。

 問題の佐賀県の仲介業者は、この流通経路の中で最初の販売先に位置し、約430トンすべてが渡った。三笠フーズはこの業者との取引に関し、「のり原料」の米粉を出荷したとする納品書や受領書を作成。農水省に提出していたが、実際に出荷された米は粉ではなく、仲介業者にのり加工の実態もなかった。

 仲介業者に販売された汚染米は、さらに福岡県の仲介業者を経由し、九州や関西の食品メーカーなどに渡った。9日現在、農水省は、問題の仲介業者を含む計71社への広がりを確認している。

 商業登記などによると、この業者は米や麦の取り次ぎなどを業務としている。問題の仲介業者の所在地は、住宅地の一角にある3階建て民家。会社と分かる看板はなく、倉庫や工場も見当たらない。社長は9日、毎日新聞の取材に応じ、「三笠フーズから頼まれてやった。関係者に多大な迷惑をかけた」と話した。理由については「農水省も調査している。勘弁してほしい」と明言を避けた。【根本毅、関谷俊介】

 ◇炊飯・米飯冷凍工場の操業を一時停止

 三笠フーズは9日、大阪府豊中市の炊飯・米飯冷凍工場「豊中ライスセンター」の操業を一時停止した。同社によると、同センターは、企業に販売する米飯を炊くなどする施設。今月5日の汚染米転売問題発覚後、顧客からの注文が減っていたという。再開のめどは立っていない。

【関連ニュース】
【事故米食用転売】三笠フーズが全従業員を解雇
【事故米食用転売】光酒造が麦焼酎を自主回収
【事故米食用転売】三笠に違約金請求へ 数千万円? 農水省
【事故米食用転売】福岡県内の業者経由 佐賀で「食用」に
【事故米食用転売】芋焼酎「薩摩宝山」30万本回収

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080910-00000011-mai-soci