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2008年09月10日(水) 18時17分

バンコク非常事態宣言中〜潜入デモ取材ツカサネット新聞

9月4日、私はバンコクで起こっている反政府デモ活動の拠点に行くことになった。そこは、タイの政府庁舎である。「反政府団体が政府庁舎を占領している」と聞いたときは、座り込みでもしているのだろうと思っていたが、私は想像をはるかに超えた光景を目の当たりにすることになる。

政府庁舎は完全に占領されていた。入り口には8月ロンドンから亡命の意思を発表したタクシン夫妻を批判する看板が堂々と挙げられ、敷地内には立派なステージが設置されている。そこではデモのリーダーたちが演説、それを芝生に敷き詰められたシートの上で常時数千人は集まっているだろう市民が熱心に聴いている。ステージ会場周辺は屋台や出店で賑わい、歌や踊りに興じ、まるでお祭り騒ぎである。

バンコク市外からの支持者も多く来ている。赤ちゃん、制服姿の学生、お年寄りまでおり、敷地内で寝泊まりしているものも少なくはない。「政府庁舎に風呂を寄付してほしい」と要求までしたという厚かましさぶりだ。

無料提供されている食事や水を求めて参加する人も中にはいる。食事を求めて旅行中のバックパッカーまでもが会場に向かっているというが、まさか日本人では…

政府庁舎前の通りには、少し離れて警察が何台もパトカーを止めていた。政府庁舎が占拠され、好き放題やられているときに、警察が離れたところで何もせずにそれを見守っているという、非常に異様な光景である。

「5人以上の集会を禁止する」という非常事態宣言が守られることなくむなしく発令され続けている。


(記者:北川綾)

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