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2008年09月10日(水) 08時26分

iPhone包囲網 ドコモ新機種、KDDIも参入フジサンケイ ビジネスアイ

 携帯電話各社が相次ぎ、パソコンの機能を取り込んだ高性能携帯電話「スマートフォン」の新機種を投入する。NTTドコモはカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)製「ブラックベリー」シリーズの最新機種「ボールド」=写真(左)=を発売する予定。またKDDIは、台湾HTC製端末=写真(左から2番目)=による同市場参入を週内に発表する。

 一方、イー・モバイルは9日、HTC製の新機種=写真(右)=を投入すると発表した。ソフトバンクモバイルが派手なPRを展開する米アップル製「iPhone(アイフォーン)3G」=写真(右から2番目)=に対し、ライバルが包囲網を形成した格好だ。

 ドコモが手がけるブラックベリーは、ビジネスでの実用性が高く、北米スマートフォン市場で首位の人気を誇るブランド。日本ではこれまで企業向け販売が中心で、個人市場には浸透していない。

 ただ、RIMが今年5月に発表したボールドは、動画閲覧や音楽再生などの娯楽機能が充実した最上位機種で、デザイン性も向上。ドコモはこうした特徴をパソコンや情報端末の愛好者に訴え、手薄だった個人顧客層を取り込む考えだ。

 実際の発売は年度内とされるが、ドコモは7月発売のアイフォーンが日本市場で伸び悩んでいる状況を踏まえ、市場投入発表を前倒しする準備を進めてきた。アイフォーンのPRに努めるソフトバンクの孫正義社長に対抗し、ドコモの山田隆持社長が陣頭指揮を執り、9月末に開くボールドの発表会にも出席するよう調整中。異例のトップセールス合戦となりそうだ。

 携帯電話会社で唯一、スマートフォンを販売していないKDDIも、HTCが6月に発表した「タッチ プロ」と呼ばれる機種で参入する。

 発売は年明け以降だが、先進的な機種の投入を宣言して個人顧客を引き留め、法人顧客の開拓にも早期に取り組んでいく。

 イー・モバイルは、HTCが5月に発表した「タッチ ダイヤモンド」を10月上旬に発売する。主にタッチパネルで操作する軽量モデルで、機能や顧客層はアイフォーンに最も近いとみられる。斬新な外観も、アイフォーンに対抗する新機軸となりそうだ。

 一方、ソフトバンクの孫社長は9日開いた企業向けイベントで講演し、「アイフォーンは業務用に必要なあらゆる機能を備えている」とアピール。企業向け販売を強化し、ドコモの牙城である法人市場を切り崩す姿勢を鮮明にした。

 アイフォーンは世界中の技術者がソフトウエアを自由に開発し、アップルのネット店舗を通じて公開・販売できる仕組みを特徴とする。ソフトバンクは、ビジネス用ソフトの開発を促し、法人顧客獲得に結びつける戦略を描いている。

 ただ、音楽プレーヤーやゲームなどの機能で娯楽性が強いアイフォーンを、ビジネスの現場で採用してもらうためには端末と通信網の信頼性向上や、同機種ならではの画期的な利用方法の提案が求められることにそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080910-00000000-fsi-bus_all