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2008年09月10日(水) 23時00分

<事故米転売>「いかんと知りつつ」食用は否定…愛知の2社毎日新聞

 事故米をめぐる不正がまた明らかになった。三笠フーズ(大阪市北区)による食用転売問題に続き、新たに愛知県内の2社が事故米を目的外で使用していた。食用への転売は否定するが、事実は今後の農林水産省の調査結果待ちだ。事故米の転売問題は、さらに拡大する様相をみせてきた。

 「浅井」(名古屋市瑞穂区)の浅井利憲社長(56)は10日、同社が入るマンションの通路で報道陣の取材に応じ「資金繰りが厳しく、転売はいかんと知りつつやった。申し訳ございません」と謝罪した。

 浅井社長によると、事故米は前社長の時代から昨春まで数十年間、工業用として購入。知人の経営する米穀販売「ノノガキ穀販」(三重県四日市市)に昨年、「中国産の事故米で、食用ではなく工業用」と伝えたうえで計862トンを転売。工業用のりの製造過程の粉状にして売ったという。

 農水省の立ち入り調査があった8日に再転売や食用使用の有無をノノガキ穀販に問い合わせようとしたが、連絡が取れなかったという。浅井社長は「転売先での使われ方に考えが及ばなかった。売却はノノガキ穀販から持ちかけられた」と話した。

 ノノガキ穀販は10日夕、人影がなくひっそりとしていた。同社は民家で、表札にだけ社名が記してある。この日、調査に訪れた三重農政事務所職員2人は「店舗はなく、車で産地や卸しなどの仲介をしているようだ。今日中には事情を聴けないかもしれない」と話した。

 また、愛知県小坂井町の「太田産業」の太田博之社長(56)は集まった報道陣に「事故米は20年以上前から肥料用と工業用として買っていた。2年くらい前から工業用だけになった。(肥料として売った事故米分は)3年間で1000トンぐらいで、たいした量ではない」と話した。

 2社に無償譲渡したとされることについては「(工業用として米を買う)入札の名義を借りるため、(見返りとして)与えた」などと話したが、そそくさと取材対応を打ち切った。【石原聖、加藤新市、清藤天】

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