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2008年09月10日(水) 07時05分

九州の酒造6社 被害額、6億円超か 4社が計38万本を回収へ西日本新聞

 米粉加工販売の「三笠フーズ」(大阪市)がカビ毒などに汚染された事故米を食用に転売していた問題で、同社の事故米を使用していた九州の酒造業者が9日、相次いで製品の自主回収を本格化させた。西日本新聞の集計では、回収予定量は計38万本に上り、被害額は6億円を超える見通し。「風評被害」など影響の長期化を懸念する声も強まっている。

 「1月以降に出荷した約5万本をすべて回収したい」。同日、自主回収に踏み切った焼酎メーカー「光酒造」(福岡県粕屋町)の光安直樹社長は、得意先に回収決定を通知。「回収品の返金などで、被害は1億円程度になろう」と表情を曇らせる。

 事故米使用が判明した九州6社のうち、製品出荷前の2社を除く4社が回収に乗りだした。最多は、約30万本を回収する「西酒造」(鹿児島県日置市)。全量を廃棄処分にする予定だ。

 日本酒メーカー「美少年酒造」(熊本県城南町)は同日、緒方直明社長らが会見し、8月7日以降に出荷した約3万本の回収を発表。被害は同社分だけで約1億円。緒方社長は「市場価格に換算すれば、最低4億円の損害だ」と語気を強めた。工場に残る約38万本分の出荷も見合わせた。

 焼酎を1年間以上貯蔵して出荷する喜界島酒造(鹿児島県喜界町)に出荷済み製品はないが、工場内には約47万本分の在庫が眠る。上園田慶太社長は「保健所の安全確認をもらわないと出荷できない」と気をもむ。

 六調子酒造(熊本県錦町)の池辺道人社長によると、工場の原酒100キロリットルが出荷できなくなれば被害額は7500万円を超す。「風評被害を考えると、損害はさらに膨らむ」と憤りを語った。

=2008/09/10付 西日本新聞朝刊=

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080910-00000017-nnp-l43