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2008年09月10日(水) 12時00分

世界最大の地上ロボット、700トンの自動操縦ダンプWIRED VISION

昨年カリフォルニア州ビクタービルで開催された(日本語版記事)ロボット・カー・レース『Urban Challenge』で、他の11台よりもはるかに大きな米Oshkosh社製の15トン貨物トラック『TerraMax』が入場ゲートに現れたとき、観衆は息をのんだ。

このロボットは、小さな衝突を数回繰り返した後で退場することになったが、SUV(多目的スポーツ車)をベースにした他の対戦者たちと比べると、そのサイズだけでも最も印象深いエントリーだった。

さて、話はこれからだ。

このUrban Challengeレースで1位を獲得したカーネギー・メロン大学では、トラクター・メーカーの米Caterpillar社と提携して、世界最大の地上ロボットを作成することになった。

700トンのロボット・ダンプで、240トンの土を運搬できるというものだ。[リリースによると、2010年までに、BHP Billiton社の運営するいくつかの鉱山で利用される計画。Caterpillar社はUrban Challengeレースでカーネギー・メロン大のスポンサーでもあった]

わかりやすく言えば、これは50台のTerraMaxeを一緒にしたものとほぼ同じ規模になる(ヒントを教えてくれた『Ares』のBill Sweetman氏に感謝する。)

[リンクされている『Ares』記事によると、キャタピラー社最大のダンプトラックは『797B』で、重量は約624トン、最大積載量は380トン。時速68キロメートルで走行できる]

それがどうした? と聞かれるだろうか。実は、ロボット技術というのは、単純に大きくすればいいというものではない。たとえばTerraMaxの場合は、より小さな車両に合わせて作られた世界を走行するために特別なアルゴリズムを必要としたと、Oshkosh社のエンジニアのChris Yakes氏は話している。この件については、私の新刊書『WAR BOTS』の中で1章を費やして説明している。

さらに、ロボットに付き物ではあるが、信頼性の問題もある(これも『WAR BOTS』のもう1つの主要テーマだ)。

ロボットは大きくなればなるほど威嚇的になり、人々の信頼は低くなる。『Convoy Active Safety Technologies』(CAST)実験に対して軍の兵士たちが見せた反応を考えてみよう。

CASTは、Urban Challengeの技術に基づくロボットの自動操縦技術で、昨年バージニア州で、中型貨物トラック数台に設置される形で性能試験が行なわれた。

発想としては、イラクにいる兵士たちに頭のいいロボットの相棒を与えて、長距離の物資輸送を支援しようというものだった。兵士が、攻撃してくるものがいないか目を光らせる間、ロボットがハンドルを操ることができる。

このシステムは安全なものだが、軍の研究者の1人に話を聞いたところ、やはり兵士たちはロボットを信用しなかったという。

それでも、慣れによって受け入れが進み、Caterpillar社が作るような巨大ロボットが民間の世界で活動の場を広げるにつれて、軍でももっと気楽にこれらのロボットを使えるようになるだろう。

[過去記事「「SF的技術」をコスト計算する(1)」では、巨大ロボット『ガンダム』の建造費用計算について紹介している]

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080910-00000003-wvn-sci