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2008年09月10日(水) 21時31分

<事故米転売>愛知の2社の不正も判明 「食用」確認急ぐ毎日新聞

 農林水産省は10日、愛知県内にある飼・肥料卸などの2社が、工業用のりとする目的で国から購入した事故米を目的外で使用したり転売していたと発表した。有機リン系殺虫剤「メタミドホス」の汚染米を転売するなどしていた。いずれも食用としての転売は否定しているが、同省は、転売されるなどした後に食用として流通している恐れもあるとみて確認を急ぐ。

 2社は「浅井」(名古屋市瑞穂区)と「太田産業」(愛知県小坂井町)。三笠フーズ(大阪市北区)の食用への不正転売を受け、03年度から今年7月までに国から事故米を購入した16社に対する農水省の8日からの調査で判明した。他の14社に対しても不正がないか調査を進めている。

 両社は三笠フーズ同様、二重帳簿を作成するなどして農水省のチェックを免れていたという。

 農水省によると、「浅井」は03〜07年度、残留基準の5倍に当たるメタミドホスに汚染された中国産もち精米や、カビが生えたり水にぬれた国産うるち精米など1297トンを購入。一部は工業用のりに製造・販売したが、862トンを「ノノガキ穀販」(三重県四日市市)に転売した。同省に対して、浅井は「米は砕いてノノガキに売ったが、のりの原料としてではなかった」と目的外使用を認めている。

 太田産業は03〜07年度、メタミドホス汚染米など1136トンを購入。このうち1000トンを自社で肥料に加工して販売、残る136トンは関東地方の肥料製造業者と工業用のり製造業者に無償で譲渡した。

 農水省は「浅井」に対して05年度から今年度までに計16回、「太田産業」に対しては06年度から今年度までに計26回調査をしていたが、不正を見抜けなかった。

 農水省は「転売したり無償譲渡した後に、食用として転売された可能性もあり、今後流通ルートを調べる」としている。【奥山智己、稲垣淳】

 【浅井の会社概要】 民間信用調査機関によると、49年創業で穀物類を原材料とした接着剤の添加物や、飼料の卸売りを行っている。名古屋市港区や佐賀県伊万里市に支店や工場がある。浅井利憲社長(56)は75年に入社し、85年から社長を務める。05年時の従業員は5人。

 【太田産業の会社概要】 民間信用調査機関によると、39年創業で、海外から仕入れた牧草などの飼料を卸売りしているほか、大豆粕(かす)や菜種油粕を肥料として農協などに販売している。太田博之社長(56)は、05年に兄に代わって社長に就任した。5月現在の従業員は8人。

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