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2008年09月09日(火) 12時55分

当初から食用に転売目的か 三笠フーズ、採算割れ価格で汚染米を集中購入産経新聞

 大阪市の米粉加工販売会社「三笠フーズ」による事故米の不正転売問題で、同社が農薬のメタミドホスに汚染された事故米800トンを平成18年11月〜19年5月の半年間に集中的に購入していたことが9日、わかった。工業用のりの原料としての買い付けとしては、採算割れ必至の低価格で落札したケースもあったが、メタミドホスは1年程度の保管で濃度が薄まるという特性を利用して、当初から食用として利ざやを稼ぐ目的で購入したとみられる。
 農水省によると、同社は18年11月〜19年5月ごろ、6回に分けて政府からメタミドホスの汚染米800トンを購入。この時期は、18年5月に食品の残留農薬などの規制が強化された「ポジティブリスト制度」が導入され、農水省の在庫約3500トンから基準値を超えるメタミドホスが検出された。このため、用途を「工業用」に限定された事故米が大量に売却されていた。
 同社幹部によると、冬木三男社長(76)が「もともと食用に使われていた米で健康への影響は考えにくい」と判断し、積極的に買い付け。さらに、九州工場で専門の検査機関に残留農薬の数値調査を依頼、食品衛生法の基準値と一致する結果が出たため食用に転売したという。
 同社は18年11月に約500トン、19年1月に約200トン、同年3月に約70トン、同年5月に約30トンをそれぞれ購入。18年11月時点の落札価格は1キロ当たり9〜14円で、工業用のりの原料に加工するための費用や輸送費など約30円を追加すると、工業用のり原料の相場40円前後を上回る恐れがある採算性の低い取引だった。
 同社幹部は「食用なら安くても67円くらいから販売できる。最初から食用に不正転売する目的だったのではないか」と話している。
 汚染米は同社九州工場の倉庫で1年以上寝かせた後の19年11月〜今年8月ごろ、約430トンをサンプル検査し、残留農薬の基準値(0・01ppm)を下回ったことを確認した上で出荷。同社が農水省の定期検査などで提示した裏帳簿では、工業用のりの原料に加工して佐賀県の仲介業者に販売したことになっていた。

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