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2008年09月09日(火) 15時04分

【パラリンピック】「日本チームを元気づけようと」自転車TT 石井一問一答産経新聞

 −−やりましたね
 「何とか監督に言われていた通り走って、そういう結果が出たので、今は取り敢えずホッとしています」
 −−日本人金メダル第1号です
 「はい、日本チームを活気づけようと思って。昨日、土田選手が落車したと聞いていたので、ショックだったんですが、次は何とか自分が金を取って弾みをつけようと思っていました。ジャパンチーム一丸となって、やっていきたいと思います」
 −−きょうの作戦は
 「去年のボルドー(世界選手権)のときに、かなり後半止まっちゃったんで、何とかラストの1周持たせるようにと。ギアも上げてきた。練習は積んできたんで、絶対踏み切れるって言い聞かせていた」
 −−前のレース(個人追い抜き)ではスパートのしどころを間違えた
 「間違えたというより、あれは限界ですね。あれはあの、自分の体力の限界で、視界がちょっと歪んじゃったんで、周回板を見落としちゃったんですけど。それは作戦ミスとかじゃなくて、体力の限界だったっす」
 −−家族への感謝の言葉が出ていたが
 「プロとしてやっていて、けがをして、ひどい状態で。婚約して1週間でけがしちゃったんで。また乗るっていったときに何て言ってくれるのかなと思ったんですけど、『やはり自分が好きなことなんだから、どんどんやりなさい』といってくれて。だから遊びではない。いろんな方の紹介でこの協会にたどり着いて、アテネ大会の合宿を見学にいったんですけど、みんな一生懸命に、大会で上位、金メダルを取ることを目標に頑張っている姿を見て、自分も次は必ず出るぞという誓いを立ててやってきました」
 −−前のレースの後に家族に電話した
 「はい。子どもには『何で金じゃないの』って言われた。そのひと言で、『次は頑張ります』って。子どもたちも自転車が大好きですね。二男も4歳で乗っているけど、長男が一番『おとう、おとう』って追っかけてくる」
 −−スタートの時に手を合わせていたが?
 「あれはすべての方への感謝です。本当に、一人の力ではここまで来ることは到底できないんで。ここまで自分の力を上げてくれたのもチームのおかげ。何しろ現役のときよりもタイムがいいんで。やはりチームあってのもんです。監督らは『自分らを一番集中した状態で試合にもっていくのが仕事だ』と言っているんで、選手はそこからが選手の仕事とみんな捕らえています。考えはみんなアマチュアじゃなくて、プロフェッショナルですね」
 −−競輪のときとやることは同じといっていた
 「一流ではやってなかったですけど、やはりA級戦を戦っていたとき、決勝戦に勝ち残ったときのように、昨日の前夜からずうっとやってきた。体が覚えているんで。リラックスですね。シャットダウンです。レースのことは一切考えないで、自分の走りだけを何回も何回もシミュレーションして。まあ、堅くならない程度に。あとは笑うことですね。それは心がけています。(現役時代は)よく怒られていましたね、『ヘラヘラするな』って。でも、それが自分の持ち味なんで」
 −−これでいくら笑っても怒られない
 「そうですね。でも余韻に浸れるのも数日で、また次のレースに向けて始まるんで。次はその記録を更新することが目標になると思うんで」
 −−出走順がラストだったが
 「気持ちがいいですね。ましてやこの観客で、アナウンスでワールドレコードって紹介があって、この観客がみんな注目してくれるってことは。走る前はプレッシャーがあるんですけど、プレッシャーがあるってことは注目されているっていうこと。ものすごくやっている意味がある。うれしさを感じて走りました」
 −−世界記録での金メダルは価値がある
 「去年、ワールドチャンピオンを取って、チャンピオンとして乗り込んで、ここで金を取るのがずっと目標だったんで。そのビジョンが現実のものとなって嬉しいです」
 −−きょうは涙がない
 「そうですね。もう、前のレースは悔しかった。本当に勝つつもりでずっと練習やってきたんで。就職をもっと伸ばして、自転車に専念してやってきたんで、やはり負けるわけにはいかなかったんですよ。でもあの負けが、この千メートルへのバネになったんで、逆によかったと思います」
 −−調子のいいときは自分の走るコースが見えるといっていたが
 「いやあ、きょうはさすがにこの舞台なんで、足が三角に回っちゃったんですよ。その中でいかに効率よく車輪に伝えられるかってことを常にシミュレーションしながら、抑えて走った。うまくいきました。自分をうまくコントロールできた。信じられないですね、普段の様子からみると」
 −−もう、自転車から離れられない
 「もう自転車は自分の体の一部なんで。競技もやめるわけにはいかないですね。各国のライバルたちがいるんで。また、そいつらが自分を倒しにやってくるんで、やはりそこで中途半端なことはできないんで」
 −−金メダルで家族も競技続行を認めてくれる
 「きのう(妻と)電話で話したんですけど、『しょうがないわね、わたしが働きます』ってことを言われたんで。こんなこというと怒られますけどね」

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