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2008年09月09日(火) 12時00分

スパイ業界で増える「契約社員」:連邦政府職員よりも高給取りWIRED VISION

外部の請負業者を雇うことで、政府の支出は減らせるはずだった。だが、米国の各情報機関が構成するインテリジェンス・コミュニティーにおいては、これが実際には節約になっていないことが判明した。

米国家情報長官局(ODNI)によると、平均で比較した場合、諜報機関と請負契約を結んだ「雇われスパイ」は、連邦政府職員よりも65%高い報酬をもらっているという。連邦政府職員の平均給与が12万5000ドルであるのに対して、雇われスパイの報酬は平均20万7000ドルだった。

雇われスパイに払う報酬は、米国のスパイ活動予算にかなり大きな影響を与えている。目一杯控えめに見積もっても、これら2万7000人の請負契約者が諜報活動要員に占める割合は4分の1を超えているからだ。

こうした請負契約者たちは、どういう種類の仕事をしているのだろうか? ODNIで人的資源を担当するRonald Sanders副長官は、『Defense News』の記事の中で、その役割分担を以下のように概説している。

請負業者の約27%は情報収集および作戦のサポート、22%はIT業務、19%はデータ分析のサポート、19%は管理業務、4%は研究開発活動を行なっている、とSanders副長官は語る。残り9%の請負業者が行なっている業務は明らかにされなかった。

『Federal Computer Week』によると、情報機関側は、請負契約者の大多数は「独自の専門知識や技術」を評価されて雇われたと主張しているという。だが、この説明は信用できない。ODNIが以前に発表した報告には、「請負業者は、公費ですでに身上調査と訓練が行なわれた職員を引き抜き、政府職員だった時の給与よりもかなり高い報酬で元職員を『貸し出し』ている」という指摘があるからだ。

1990年の「政府改革」時の予算削減によって、情報機関は骨抜きにされた、とSanders副長官は述べている。その後、2001年9月11日に同時多発テロ事件が発生し、急いでスパイを養成する必要が生じた。

「スパイ衛星やコンピュータ機器を製造する企業に勤務する人たちや、カフェテリアの従業員、警備員」などを計算に含めれば、情報機関のために働く人員の「約70%を(外部の)請負業者が占めることになる」と『Los Angeles Times』紙は指摘している。

それにもかかわらず、「使命を果たすために、請負業者に頼り過ぎてはいない、とわれわれは確信している——繰り返すが、そう確信しているのだ」とSanders副長官はFederal Computer Weekに語っている。

[なお、過去記事「米国で活動するスパイの実態調査:無給、逮捕率も上昇」では、米国人が、米国にとって不利になるようなスパイ活動をした件についての調査結果を紹介している]

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080909-00000002-wvn-sci