記事登録
2008年09月09日(火) 08時46分

ネアンデルタール人の女性骨盤と新生児を復元 お産に苦しみ現代と同じ産経新聞

 ネアンデルタール人もお産に苦しんだ−。日本(東京大、高知工科大、琉球大)とスイス、ロシアの国際共同研究チームは、ネアンデルタール人の新生児や女性の骨盤を復元し、出産や脳の成長パターンが現代人と同じ特徴を持っていたとみられることを明らかにした。研究論文は近く、米科学アカデミー紀要に掲載される。
 約10万〜3万5000年前にかけてヨーロッパを中心に生息したネアンデルタール人は、現代のヒト(ホモ・サピエンス)とは最も近縁な化石人類。研究チームは、ロシア、イスラエルなどで発掘された保存状態の良い化石をもとに新生児、生後19カ月、24カ月の子供の骨格と成人女性の骨盤を復元。出産や脳の成長パターンを現代人と比較、考察した。
 新生児の脳の大きさは現代人とほぼ同じ400ccほどで、大きな脳を持って生まれるヒトの特徴はネアンデルタール人とホモ・サピエンスの共通祖先の段階で獲得された考えられる。新生児の頭蓋(ずがい)骨は母親の産道にちょうどフィットするサイズであることから、研究チームは「お産の苦しみは現代人とあまり変わらなかった」と推測した。
 研究チームの近藤修・東大大学院理学系研究科准教授は「脳の大きさや成長過程から、ネアンデルタール人は大きくゆっくりと成長した可能性が大きい。『早熟で若く死ぬ』というこれまでの常識とは違い、現代人に近い生活史を持っていたようだ」と話している。

【関連記事】
ネズミ似の哺乳類も飲酒、マレーシア、ヤシ果汁から
牛やシカ、地磁気を感知? 衛星写真で体の向きを解析
ES細胞の遺伝子操作を効率化 iPS細胞への応用も
低温下でも発芽促す遺伝子発見 ホクレン総研など
鱗粉こすり“ラブソング” ガの超音波の仕組み解明

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080909-00000903-san-soci