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2008年09月08日(月) 16時59分

明快なメッセージは必要ではないのか?〜日本サッカー協会に問うツカサネット新聞

9月6日。バーレーン対日本。3つの歓喜と2つの溜息が日本から生まれる。

サッカーW杯アジア最終予選。3−2のスコアは日本が制し、勝ち点3を緒戦で手にした。
日本の得点者は中村俊輔が18分にFKを直接、44分に遠藤が得意のPKを。そして途中出場の中村憲剛が85分に得点を挙げる。

一方のバーレーンは87分にサルマン・イサ。続く88分に日本守備陣の連携ミスがそのままオウンゴールとなる事故が起った。1点目も含め、個人の集中力とチームの連携を問われるような失点の仕方であって、戦術云々を論争するようなものでもない。

しかし、今回著者が申し上げたいのは試合のレポートではなく、もっと根本的な問題だ。一体、このチームは何がしたいのだ?私だけでなく、そういった声はサッカーファンからも実際に聞こえてくる。

今のチームにはこれだ!という武器が見えてこない。ボールを前へという意図は解るがプレースピードが速いわけでもなく、中盤で溜めを作るわけでもない。常に一定のリズム、変化のないテンポで進む展開に苛立ちすら覚えてしまう。

もちろん、監督が代わってから一年と経たない現状では理想形を見られることがあったとしても、一試合に数分といったところだろう。だが、それを差し引いても・・・といった印象はどうしても拭えない。

ジーコは選手に自由を与え、自主性と創造性を引き出そうとした。オシムは『考えて走る』と明確なキーワードを挙げ、チームとして闘うことを訴えた。考えて走るとは何かを考察させることが最初の狙いだったようにも思う。

さて岡田ジャパンはどうだろう。指揮官は『接近、展開、連続』といったキーワードを出したが前線にボールが渡ってもフォローに入るのが遅い。サイドチェンジや素早いパス交換、複数の選手による飛び出し等は前半には見られなかった。ラインの押し上げが不十分で、波状攻撃を仕掛る局面も後半になって少し見られた程度。

その攻撃に関してもモハメド・フセインが2枚のイエローカードを貰い、退場。相手が10人になってようやく、といったところなので参考になるかどうかは怪しいもの。ただ、85分に決まった中村憲剛のミドルシュートは素晴らしかった。ルックアップしてからすぐさま左足一線。シュートを第一に考えたプレーは他の選手も見習って欲しい。

「チームのコンセプトが見えて来ない」
中村俊輔が現地に向かう前に放った一言が今になっても響いてくる。その一方で今回の勝利を受け、「下を向く必要はない」と発言したが胸を張っていいとも言っていない。彼が満足しないのはいつものことだが、やはり消化不良の感はある。

岡田監督は一体、どのようなビジョンを持って代表を率いているのだろうか。
候補に入っている全ての選手を代表に招集出来るわけでもないし、選手が集まる時間も限られている。だからこそ、選手に代表のサッカーを如何にして考えさせるかが重要になると著者は訴えたい。もういっそのこと、チームのコンセプトを説明するための会見でも開いてはどうか。

昨年の12月。指揮官は就任時の会見で前任者のサッカーを引き継ぐような素振りを見せた。協会がオシムを招聘した理由の一つは日本サッカーの確立だったので、その発言はある意味では当然。

解せないのは協会の方だ。3月26日。やはり現地でのバーレーン戦で1−0の敗戦を喫した後、「これからは俺のやり方でやる!」との言葉が岡田本人から発せられる。しかしこの時、協会側は彼の発言を咎めようともせず時が流れていった。協会が本当に日本サッカーの確立を目指すのであればもっと圧力を掛けてもいい。オシムとの共通項が多い大木コーチの存在は何なのだろう。

このような状況に改善がないのなら、個の力に頼らざるを得ない、方向性の見えないサッカーをするのなら。協会は即刻、監督の首を代えるべきである。


(記者:想)

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