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2008年09月08日(月) 16時55分

乱立する総裁選出馬 票の分散か?売名か?ツカサネット新聞

福田氏の突然の辞任で政治に空白を作ってはならないということで、次期総裁選びに色めき立った自民党。次期総裁と目されている麻生氏に対して、派閥を越えて対抗馬を出そうする動きが活発化している。小池氏、与謝野氏、石原氏、石破氏が立候補を表明し、小坂氏、棚橋氏、山本氏も立候補の意思を持っており、かなりの乱立の様相を呈してきた。

5日に出馬表明をした石破氏を含め、立候補者は5人となったが、5人出馬は佐藤栄作、三木武夫両元首相らが争った昭和45年総裁選以来、38年ぶりで、推薦人制度を導入して以降では初めてのことらしい。総裁選というと、密約が交わされ、選挙の前にすでに票集めがガッチリなされて結果が見えているといったイメージが強いが、今回のように乱立の様相を呈していると、密約という暗黙のセオリーは成り立たないのかもしれない。同じ派閥内で立候補者が出ると票割れが生じ、共倒れになる確率も高くなる。そういう意味では、政治家の政治家を見る目が重要なポイントになるだろう。

小池氏は、アメリカのヒラリーさんのように女性として、どんな働きができるか見てみたい気もする。歴代の首相に陰となり日陰となり仕えた実績が、逆に風見鶏と揶揄される部分もある。自分の政治家としての目を信じて正しいと思う方向を見極めてきたというのが小池氏の弁明だが、ここへ来て自分の力を試す大きなチャンスとも言える。

「財政再建重視派」の与謝野氏は、プライマリーバランスの黒字化達成時期の先延ばしを主張する「黒字化目標先送り派」の麻生さんとは一線を画し、すでに公約となる政策づくりを始めているという。財政再建に向けて消費税引き上げの必要性を掲げるのではないかと見られる。政権構想の作成を急いでおり、キャッチフレーズは「堂々たる政治」とする方向らしい。

石原氏の出馬には、ちょっと驚かされたが、若手の中では、今まで重用されてきた部類の人で、その経験や実績から若手の対抗馬としては適任という気がする。小池氏とともに「上げ潮派」に近く、麻生氏の積極財政論は改革路線とは違い、小泉純一郎元首相が策定した上げ潮派のバイブルとも呼ばれる「骨太方針2006」に盛り込まれたPB黒字化目標を基準にしているため、麻生氏とは別ウィングであると述べた石原氏の言葉と合致する。小さな政府を目指す小泉構造改革路線の継承を旗印に総裁選を戦おうとしているのではないかと言われている。

若手で言うと小坂氏、棚橋氏、山本氏の名前も出てきているが、20人の推薦人を集められるかが問題で、「40代の候補がいなかったから」と出馬の意向を示した人もいて、ここらは、政策云々よりも1つの売名行為として総裁選を活用しようという人もいるのではないだろうか。若手にとっては、世代交代の旗手として今回の戦い如何によって今後の政治家としての力を付けていく絶好のチャンスともいえる。きっかけはどうであれ、チャンスをものにできるかどうかは、政治家としての自分をどこまで訴え、鼓舞でき、納得させるかではないかと思う。

総裁選レースは、混迷を極めて来たが、それだけに国民の目も向けられているはずだ。それぞれの候補者がどんなことを公約として掲げ、実行してくれるか、国民の生活を守るために先頭を悠々と走ってくれるそんな総裁を願っていることは間違いない。途中で政権を投げ出さず、政治家生命を賭けて、とことん闘ってくれる総裁誕生を願ってやまない。

(記者:halfmoon)

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