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2008年09月08日(月) 16時55分

三笠フーズ・事故米を転売 汚染される食事情ツカサネット新聞

中国の毒入りギョーザ事件で初めて名前を知ったメタミドホスだが、メタミドホスとは、有機リン化合物で農薬、殺虫剤の一種で、日本では、農薬として登録がないため使用できない。しかし、中国では殺虫剤として広く使用されており、中国国内でも残留許容量を超えた野菜や果物が市場に出荷され、中毒を起こす事件がたびたび発生しており、中国の食事情を危ぶむ向きもある。

毒入りギョーザ事件も未だ未解決のまま、今度は、大阪の米粉加工販売の三笠フーズで、06年度と07年度購入分の中国産もち精米計約800トンに、またしてもメタミドホスが検出された。発がん性カビ毒「アフラトキシンB1」が発生するなどした「事故米」を政府から工業用に購入し、食用と偽って転売。そのうち300トンは熊本、鹿児島両県の焼酎メーカー4社が焼酎原料として使ったとみられ、基準値を超える殺虫剤メタミドホス残留米が、せんべいなど米菓用に使われた可能性があるという。

「事故米」という言葉を今回、初めて聞いたが、政府が国際的に義務付けられている最低輸入量の米や備蓄米など政府が保管する「政府米」のうち、1年間保管後、水に濡れたり、カビや異臭が発生したり、基準値を超える残留農薬が検出されて食用として販売できない米をいうそうだが、「工業用のり用」などと明記することで売却できるのだという。今回は、これを悪用したケースだ。

問題発覚当初は、三笠フーズ内部でも「九州事業部の判断」「本社の指示」と主張が食い違い、こり手の事件にありがちないつもの醜態を晒した形だったが、今日(6日)になって冬木社長が会見を行い、「私から指示した。利益が出るということで私が決裁した。」と述べ、転売を指示していたことを認めた。また不正を隠すため二重帳簿を作っていたことも明らかにし、その悪質ぶりを露呈させることとなった。

「経営が苦しくてやってしまった」と弁明した冬木社長だったが、目視や精米機にかけ、カビを完全に除去したといわれる有機リン系殺虫剤のメタミドホスや発がん性カビ毒アフラトキシンB1に汚染されていた米を転売し、人体に影響は少ないとされるものの、その危険性に対する認識もあり、その上の行動ということで、食を守るべき人のやることではないと思う。今までにもミートホープ事件、船場吉兆の事件など、同様の動機で様々な食の事件が起きていたにもかかわらず、欲に目がくらんで本当に自分達がやるべきことを忘れ、怒りを通り越して哀れにさえ感じる。会社や社長としてのプライドと社会的責任は、一体どこへ行ってしまったのか。目先の収益と比べて、不正をしてでも手に入れたかった収益だとしたら、もうその時点で企業の存在価値も潰えてしまう。

食の問題というのは、人間の生活の根本であり、本来、モラルは当然のごとく守られるべきだと思う。普段、私達は、当たり前のように店頭で売られている食材や加工品などを選び、買い求め、それを食する。それは、その商品なり、販売業者、加工業者などを「信用して」買い求めるわけで、見た目に何か大きな異変でもない限り、それは信頼して買い、ためらいもなく口に入れる。そうでなければ、何を信じればいいのか、疑いだしたらキリがないからだ。そんな消費者の意識や行動を考えると、食を扱う人達のモラルの低下は、私達の生活を即、脅かすものになってしまう。それだけに自分達の私利私欲のために消費者や米の生産者達を裏切る行為は、決して許されるべき行為ではないし、食に携わる一人一人がもっとその責任の重さを実感し、責任とプライドを持って仕事にあたって欲しいと思う。

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(記者:halfmoon)

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