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2008年09月08日(月) 19時44分

【パラリンピック・競泳】成田真由美 亡き友に贈った金メダル産経新聞

 【北京=川越一】北京パラリンピック大会第3日の8日、成田真由美選手(38)=神奈川=が女子五十メートル背泳ぎ(運動機能障害5)に出場した。障害クラス変更で苦戦を強いられている“女王”だが、この種目には特別の思いが込められていた。
 前回アテネ大会で7冠を達成した成田選手。うち6種目で世界新記録をマークしたが、唯一、世界記録の更新ができなかったのが、女子五十メートル背泳ぎだった。この種目はアトランタ、シドニーと金メダルを争った最大のライバル、カイ・エスベンハイン選手(ドイツ)の得意種目。同選手はアテネ大会前の2002年9月、この世を去ったが、世界記録はいまだに同選手が保持している。
 成田選手はアテネ大会後の05年1〜2月、ドイツ・ライプチヒに眠る親友の元を訪ねた。その際、遺族に贈ったのが、アテネ大会女子五十メートル背泳ぎで獲得した金メダルだった。「マユミが取ったメダルだからマユミが持っていて」という同選手の家族に対し、成田選手は言った。「カイが生きていたら、絶対にこのメダルはカイが取っていたんだから」。だから今、成田選手の手元に、アテネ大会の金メダルは6個しかない。
 エスベンハイン選手のいない大会に寂しさを覚えることがある。「もっともっとカイのパワーをもらえたら…」と成田選手。亡きライバルの分まで全力で泳がなければならない。だから、障害クラスの変更という、自力ではどうにもならない“障害”にも立ち向かう。

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