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2008年09月06日(土) 15時59分

汚染米、転売指示認める 三笠フーズ社長謝罪「5、6年前から」産経新聞

 大阪市北区の米粉加工販売会社「三笠フーズ」が有機リン系の殺虫剤メタミドホスが基準値を超えて検出されるなどして用途が工業用に限定された「事故米」を食用と偽って転売した問題で、同社の冬木三男社長(73)が6日、大阪市内で記者会見し「転売は私の指示でやらせた。5、6年前から始めた」と説明。工場がある九州事業部(福岡県筑前町)の独断としていた5日夕の公式説明を一転させ、会社ぐるみの不正転売を認めた。

 会見には冬木社長のほか、弁護士ら3人が出席。冬木社長は硬い表情で「すべて私の責任です。世間にご迷惑をおかけして申し訳ございません」と陳謝した。

 不正転売を始めた時期について「記憶が定かでないが5、6年前から私の指示で行っていた。経営が苦しくついやってしまった」と説明。事故米の相場は1キロ10円台で通常の加工食品用の米と比べて5分の1の安さとされ、「10%ぐらいの利ざやを稼ぐ目的だった」と述べた。事故米を食用で使う際は精米機や目視で安全性を確保したと主張。一方で「危険性も認識しており、抵抗感も若干あった」と話した。転売先の会社名は言えないと繰り返した。

 不正転売について同社幹部は5日夕、九州事業部の前部長か現場レベルの独断で転売したと説明していた。この点について冬木社長は「隠蔽の意図はない。私が現場と直接やりとりしていたので本社の担当者は知らなかった」と釈明した。

 一方で農水省の調査に当初、不正を否定し二重帳簿や虚偽の伝票を提出したことを報道陣に指摘されると、「現場から可否を聞かれ、私が許可した。やってはいけないことと認識していたので隠したかった」と説明した。二重帳簿は定期検査を逃れるため当初から作っていたという。

 また不正が始まったきっかけは約10年前に事業を譲渡された個人商店にノウハウがあったと説明。個人商店から同社に入社した前部長が不正転売を提案し、冬木社長が認めたという。

 報道陣からは不正に対する認識などに厳しい質問が相次いだが、冬木社長は「記憶が混乱して」と繰り返して黙り込んだ。

 同社が転売した事故米は九州や近畿地方の仲介業者や米穀店の間で転売が繰り返されており、最終的にどの食品に使われたか特定が遅れている。

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