記事登録
2008年09月06日(土) 15時59分

事故米不正転売 九州産焼酎に冷や水 業界は風評被害を懸念産経新聞

 米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)が、残留農薬やカビ毒が含まれる輸入米を米菓や焼酎用に転売していたと指摘されたことを受け、「事故米」を流通した可能性がある九州の米穀業界や焼酎業界からも「迷惑な話。信じられない」と怒りの声が上がった。産地偽装表示など、食品業者の不正が後を絶たない中での「食の安全、安心」を揺るがす事件。焼酎業界などからは「風評被害が心配」と、消費への影響を懸念する声も出ている。

 農林水産省によると、三笠フーズは殺虫剤のメタミドホスが検出された中国産米を佐賀県の米穀仲介業者に転売し、それらはさらに仲介業者や米穀店に転売されていった。福岡県内の卸売業者は「うちは三笠フーズとは取引はないが、検査で引っ掛かったコメを食用で売るなんて初めて聞いた。考えられないことだ」と驚いた様子。

 メタミドホスは中国製ギョーザ中毒事件でも検出された殺虫剤。この事件から半年以上たった今も消費者の不安は消えず、冷凍食品の需要は低迷したままだ。「コメの消費が上向いているのに、イメージが悪くなる」。福岡市の卸売業者は怒りを隠さない。

 波紋は九州の焼酎業界にも広がった。カビ毒のアフラトキシンが検出されたベトナム産米が流れていた恐れがある。鹿児島県いちき串木野市の焼酎メーカーによると、芋焼酎の場合もコメを麹(こうじ)原料として使う銘柄があるという。同社の広報担当者は「三笠フーズとの取引はなく、原材料は生産履歴を確認できる国産だけを使っている」と説明。その上で「焼酎業界全体に対する信頼を失いかねない」と不安を語った。

                   ◇

 中国などから輸入し、残留農薬が基準値を超えているため食用にはしないことになっているコメは「事故米」として工業用ののりなどに使用が限定されている。農水省は今回、不正転売が発覚した輸入米について「仮に食べても健康への影響はない」としている。

【関連記事】
食用転売米穀は接着剤の材料 悪質さ際だつ三笠フーズ
農薬汚染米食用転売 三笠フーズ社長が指示認める 二重帳簿偽装も
「心よりおわびします」 三笠フーズ社長の一問一答
事故米流用「本社は関与していない」 三笠フーズ本社社員
中国産「事故米」せんべいに転用 メタミドホス検出

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080906-00000128-san-soci