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2008年09月06日(土) 08時01分

三笠フーズ 際立つ悪質手口 二重帳簿、虚偽伝票で隠蔽産経新聞

 カビや国内では認められない農薬が検出され、食べられない「事故米穀(べいこく)」を食用に不正転売していた大阪市のコメ加工販売会社「三笠フーズ」。農林水産省などの調査に当初、不正転売を否定し、二重帳簿や虚偽伝票で隠蔽(いんぺい)を図るなど悪質さが際だった。事故米穀には輸入が義務づけられながら需要の少ない外国産米が多く、こうした業者が供給の引受先になってきた。悪質な不正転売に農水省は「今後、販売の仕方も考え直す」としている。

 農水省が同社の立ち入り調査に着手したのは8月29日。1週間前に「三笠フーズが事故米穀を食用に横流ししている」という情報提供を受け、福岡県筑前町にある同社工場などを同県と合同で調査した。

 しかし、同社側は事故米穀の食用転用を真っ向から否定。非食用に業者に出荷したように装った虚偽の台帳や伝票まで提出した。

 台帳や伝票を農水省担当者らが調べ、「虚偽の販売記録ではないか」と問いつめたところ、ようやく同社は本物の台帳を提出。それでも言い訳を繰り返し、不正転売を認めたのは今月4日になってだった。

 事故米穀は農水省が買い上げたコメの中から認定し、工業用糊(のり)や接着剤などの材料として業者に入札で販売する。年間平均約2000トン程度が販売されている。

 1キロ10円台で、1キロ1000円以上のブランド米よりは大幅に安いが、加工食品の材料となる安価なコメと比べても約5分の1の安さ。農水省では差額を利用した利益目的の悪質な行為とみて調べを進めている。

 メタミドホスが検出された精米は、確認されているだけでも計12社を経由する複雑なルートで販売されており、農水省も全容が把握仕切れていない。中には伝票上だけの取引もあり、ある農水省幹部は「不正を隠すためかも」と話した。

 平成15年度以前にも不正転売の可能性もあるが、記録が残っていないため農水省は調べることもできないのが実情だ。

 三笠フーズの本社で対応した社員は「メタミドホスが検出された米は工業用にしか使っていない」とする一方、「九州の所長の判断で焼酎の原料用に混ぜた」などと説明。名指しされた福岡県筑前町の工場の前所長は「社長に命令された。良心の呵責(かしゃく)もあったが従った」と食い違いをみせた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080906-00000101-san-soci