記事登録
2008年09月06日(土) 10時41分

グーグル奇跡の成長から10年 “善玉”イメージかすみ懸念も産経新聞

 【ロサンゼルス=松尾理也】インターネット検索世界最大手グーグルは7日、創立10周年を迎える。スタンフォード大学の学生2人がシリコンバレーのガレージでひっそりと始めたベンチャー・ビジネスが、たった10年で株式時価総額1500億ドル(約16兆円)を超える巨大企業に成長した軌跡は、インターネットが現代社会に与えた衝撃の大きさと比例している。

 グーグルは7日、おなじみとなった同社の検索画面に10本のロウソクを立てたバースデーケーキを登場させる予定だ。

 グーグルは1998年9月7日、スタンフォード大の無名の学生だったサーゲイ・ブリン=当時(24)=と、ラリー・ペイジ=同(25)=の両氏によって創業された。ベンチャー・キャピタルから引き出した創業資金は、通常のスタートアップ(会社創業)の相場とかわらない100万ドルあまり。創業時はスタンフォード大の学生寮の自室に置かれていた本社は、まもなく大学近くの住宅地のなかにある借家のガレージに移った。従業員は4人だけだった。

 10年後の現在、グーグルは年間の売り上げが166億ドルに達し、従業員1万9600人を数える世界的な大企業に成長した。米フォーチュン誌の調査では、グーグルは「米国でもっとも働いてみたい企業」のトップに君臨し、ブリン氏とペイジ氏は、40歳以下では世界一の富豪となった。

 「やる気と才能しかなかった10年前と比べれば、現在の姿は突拍子もないほどの成功に映る」と、AP通信は振り返る。

 移り変わりが極端に速いインターネットの世界で、グーグルの今後の10年がどうなるか、予測するのは難しい。このところグーグルは“本業”の検索エンジンの開発に加え、携帯電話の基本ソフト(OS)やインターネット閲覧ソフトの開発、さらには環境問題を見据えての再生可能エネルギーへの投資などにビジネスを拡大させている。

 グーグルの社是は「邪悪になるな」。ウィンドウズの成功で独占的な立場にたち、「悪の帝国」と揶揄(やゆ)されることもあったマイクロソフトに対抗する“善玉”としてのイメージも、初期は強かった。

 だが、ネット検索の7割ものシェアを独占する現在、「もはや単純に善玉とはみなされない」(英BBC)立場にある。司法当局が独占禁止に向けた手続きに乗り出すのではないかとの観測も根強い。

【関連記事】
ラブホテルから芸能人の自宅まで グーグル「ストリートビュー」
グーグル、35%増益も市場予想を下回り失望
グーグル 閲覧ソフト独自開発 MSのシェア切り崩し
MSゲイツ会長、引退し慈善活動に
Good−by,Bill Gates

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080906-00000907-san-bus_all