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2008年09月06日(土) 23時43分

理事長雲隠れ、「年寄総会」紛糾…大揺れの角界産経新聞

 揺れ続ける角界に6日、また大きな衝撃が走った。ロシア出身の露鵬、白露山兄弟の精密検査の結果は再び「陽性」。急遽(きゆうきよ)開かれた「年寄総会」は紛糾し、北の湖理事長の辞任要求が飛び出すなど異例ずくめの展開となった。「ほぼ100%の精度」とされる精密検査。角界の重大局面にもかかわらず、白露山と師匠の北の湖理事長は姿を見せず、識者からは「無責任な対応に憤りを感じる」との声も聞かれた。
  ■年寄会
 「うるさい、やめろ」−。発言者に対して、怒号が飛ぶ。6日午後2時、東京・両国国技館地下の大広間で79人の親方が出席して開かれた臨時の年寄総会。1時間半に及んだ異例の会合は非公開で実施された。
 出席者によると、大嶽親方が弟子の露鵬の潔白を主張する文書を読み上げたところ、ある親方から冒頭のやじが飛び、両親方は激しいにらみ合いになった。
 北の湖理事長への辞任要求も出た。ある親方は「理事長を尊敬しているが、ここは一度身を引いた方がいい」と意見を述べ、賛同者もいたという。ただ、退陣を求めるのは時期尚早との声も同程度あった。
 最終的に理事会開催を要求することでまとまり、年寄会会長の朝日山親方(元大関大受)が総会終了後、協会執行部に伝えた。報道陣から「これは北の湖体制に対するクーデターか」と問われた朝日山親方は「そういうことじゃない」と声を荒らげた。
 若手の親方は「一人一人の親方が責任を持ってやっていくしかない」と神妙に語ったが、ある親方は「要するに、これからもみんなでがんばろうっていうことを話し合ったわけだ」と答えた直後、「物を食べてねぇからさ。勘弁して」と両国駅前のレストランに駆け込んだ。
  ■北の湖部屋
 東京都江東区の北の湖部屋。6日夜になっても、白露山や北の湖理事長は部屋の外に姿を見せることはなく、近所の人からは「理事長を交代すべきだ」との厳しい声も上がった。
 部屋前には50人前後の報道陣が詰め掛け、物々しい雰囲気に。逆に部屋の中は静まり返り、買い出しなどのために力士らが硬い表情で出入りするだけだった。北の湖理事長は外出せずに部屋の中にいたという。
 近くの会社に勤めている女性(68)は「検査結果はとても残念。(露鵬と白露山を)近くの商店でよく見かけたが、ニコニコしていてとてもいい印象だったのに…」とショックを隠しきれない様子だった。
  ■大嶽部屋
 一方、数十メートル離れた大嶽部屋の前では、露鵬と大嶽親方が正午すぎ、塩谷安男弁護士を伴って会見。水色の羽織に紺のはかま姿で現れた露鵬は大麻使用を「絶対にやってない」と重ねて否定した上で、「自分は相撲が大好きで一生懸命やるしかない」と話した。
 「一連の検査や手続きが不透明だ」。塩谷弁護士が強い口調で検査の在り方を批判する傍らで、大嶽親方と露鵬はじっと口を結んだまま。大嶽親方は、精密検査の結果がテレビで速報されたことに「朝に電話で連絡を受けたばかりなのに、もう流れるなんて。おかしい」。協会への不信感をあらわにし、会見は約10分で終了した。

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