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2008年09月06日(土) 23時12分

ヒトや霊長類の胚へ導入禁止=iPS細胞、研究指針に盛り込む−米科学アカデミー時事通信

 京都大の山中伸弥教授らが昨年、ヒトの皮膚細胞に遺伝子を導入する方法で、増殖能力が高く、身体の多様な細胞に分化する新万能細胞「人工多能性幹(iPS)細胞」を生み出したことを受け、米科学アカデミーは6日までに、ヒトの受精卵(胚=はい)から作る旧万能細胞「胚性幹(ES)細胞」の研究指針を改訂した。
 iPS細胞のほか、神経幹細胞など成人の体性幹細胞も指針の対象に加えた上で、当面の措置として、ヒトiPS細胞をヒトの胚盤胞(はいばんほう=子宮着床直前まで成長した胚)や霊長類の胚に導入する研究を禁止した。また、ヒトiPS細胞を精子や卵子に分化させる研究は、大学や研究機関の監視委員会の審査を受けることを求めた。
 ES細胞は再生医療に役立つと期待される一方、受精卵を壊して作る生命倫理上の問題があり、米国では2001年、既存のES細胞株に限って連邦政府の研究資金支出を認めることを決定。科学アカデミーが05年に研究指針を策定した。米国では現在、日本以上にiPS細胞研究が急速に進んでおり、改訂指針が研究動向に一定の影響を与えるとみられる。 

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