記事登録
2008年09月04日(木) 21時18分

がけっぷちのタイ首相、生き残りかけ国民投票実施決める読売新聞

 【バンコク=田原徳容】タイ政府は4日、緊急閣議を開き、サマック首相退陣を求める反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)」による首相府占拠などの政治危機を打開するため、首相の信任を問う国民投票の実施を決めた。

 非常事態宣言下で軍が静観する中、辞任か議会解散かを迫られた首相が窮余の生き残り策で勝負に出た格好だが、実施には曲折が予想される。

 首相府報道官によると、8日から上院で国民投票の実施に関する法律の審議を始め、90日以内に制定。その後30日以内に投票を行うという。

 首相は、ラジオ演説で「投票実施までPADは首相府内を占拠してもかまわない」とした上で、「PADと政府のどちらが正しいかを国民に判断してもらう。結果には必ず従う」と述べた。

 一方、PAD指導者の1人、ソムサック・コーサイスック氏は「首相の延命工作でしかなく、税金の無駄」と指摘、投票実施に反対の姿勢を示した。

 首相は4日朝の演説で、「PADに屈する形で辞任や議会解散はしない」と、これまでの姿勢を堅持する方針を表明。与党・国民の力党幹部の1人は「タクシン政権時代は議会解散がクーデターを招いた。首相は二の舞いを避けたいはず」と語った。

 首相が国民投票実施を打ち出した背景には、昨年12月の下院選で連立6与党の得票率が6割を超えたことを踏まえ、過半数の支持を得られるとの自信がある。首相は、解散・総選挙とは別の方法で国民に信を問い、自身の正当性を維持した形で事態収拾を図ろうとしているとみられる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080904-00000045-yom-int