記事登録
2008年09月03日(水) 08時00分

【Re:社会部】「安心守る」とは言うけれど産経新聞

 「消費者庁をつくるための法案などを議論し、国民生活の安全と安心を守る政策をすみやかに実施に移す」。先週、首相官邸から届いた「福田内閣メールマガジン」に、福田康夫首相はそう書き込んでいました。

 その首相が突然、退陣しました。安全と安心を守る…。この言葉は誰が踏襲するのでしょうか。

 北京五輪があったせいか、すっかり忘れられてしまっていたのが、中国製ギョーザ中毒事件です。中国外務省は、実質上の五輪開幕となった8月6日、問題となったギョーザの製造元の「天洋食品」(河北省)が事件後に回収したギョーザを6月に食べた中国人数人が、殺虫剤「メタミドホス」による被害を受けたと発表しました。日本に輸入されていないギョーザによる中毒事件が起きていたことで、殺虫剤は中国で混入された疑いが強まっています。

 五輪も終わり、ようやく中国当局が捜査を再開させたと伝えられますが、日本政府のリアクションはなく、相変わらず「待ちの姿勢」です。そうした中で、首相は政権を投げ出しました。

 日本で毒ギョーザを食べた被害者の中には一時重体となり、生死をさまよった人もいました。中国側に徹底した捜査と真相究明を強く求めることこそ、福田首相が掲げた「安心実現内閣」の責務だったはずです。キャッチフレーズの上滑り感がぬぐえません。(将)

【関連記事】
ギョーザ事件で神経質な対応ぶり
中国でのギョーザ中毒、市場流通せず 中国側が発表
ギョーザ中毒事件で担当の公安省局長が更迭か 中国筋
【福田政権考】ギョーザ事件 謎の多い「ストーリー」
天洋製回収ギョーザ、中国で中毒  メタミドホス現地混入強まる

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080903-00000063-san-soci