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2008年09月03日(水) 15時02分

【痴漢でっち上げ「主犯」公判】(3)置引した金は1万円と小銭「共犯の女は『たったそれだけか』」産経新聞

 大阪地裁で3日、行われた痴漢でっち上げ事件の被告人質問。起訴事実を認めて謝罪した「主犯」の蒔田文幸被告(24)だが、次第にあいまいな返答になって…。

 《次に弁護人はゲームセンターでの置引について質問を始めた》

 弁護人「女性と共謀して財布を盗んだことは間違いないですか」
 被告「はい」

 弁護人「どうしてこんなことをしたのですか」
 被告「お金がほしかったから」

 弁護人「その日は最初、女性から百貨店で万引しようとメールで言われたのですか」
 被告「はい」

 弁護人「メールを受けてどう思いました」
 被告「いや…、しようかと」

 弁護人「(置引は)虚偽告訴事件(痴漢でっち上げ)のあった日の翌日ですけど、共犯の女性からもう1回、痴漢でっち上げをしようとのメールが来たとき、どう思ったのですか」
 被告「さすがにちょっと…。できないと」

 弁護人「それは断ったのですね」
 被告「はい」

 弁護人「女性から犯罪を持ちかけたのは何回ぐらいですか」
 被告「回数は覚えていないです」

 弁護人「最終的にゲームセンターで置引をやると決めたのはあなたですか」
 被告「はい」

 弁護人「ターゲットを決めたのも」
 被告「はい」

 弁護人「女性が被害者に何か話しかけている間にとか、方法を具体的に指示しましたか」

 《蒔田被告は記憶があいまいなのか、どう答えるべきか考えているのか、しばらく間を置いてから「言っていないです」と答えた》

 弁護人「(ゲーム台の上にあった)被害者の財布をわざと床に落としたのは女性ですか」
 被告「はい」

 弁護人「財布を落とすよう指示したのですか」
 被告「してないです」

 弁護人「盗んだ財布の中にいくらあったのですか」
 被告「1万円と小銭」

 弁護人「それを知って女性はどう言ったのですか」
 被告「『たったそれだけか』と」

 弁護人「そのお金はどうしました」
 被告「2人でごはんを食べに行きました」

 弁護人「女性はその犯行をしてあなたに怖かったと言いましたか」
 被告「いいえ、ないです」

 弁護人「女性が普段と違う様子はありましたか」
 被告「ちょっと不機嫌でした」

 弁護人「なぜ」
 被告「お金があんまり入ってなかったから」

 《共犯女は自らの公判で置引後の心境について「こわかった」などと供述、消極的な関与を強調したが、蒔田被告は否定する。弁護人は置引事件の質問を終え、蒔田被告が女性と知り合う前に兵庫県内の女子大の学園祭に行き、教室に置いてあった財布を盗んだ事件について聞いた》

 弁護人「これは女性と知り合う前のことですね。なぜしたの」
 被告「お金に困っていたからです」

 《次に弁護人は蒔田被告が以前に死亡事故を起こし、執行猶予中だったことにも言及した》

 弁護人「あなたは交通事故で執行猶予中だとわかっていましたね。なぜこんなこと(学園祭の置引)をしたのですか」
 被告「当時は悪いことをしても実感がありませんでした」

 弁護人「逮捕されて何かを考えましたか」
 被告「被害者の方には申し訳ないことをしたと」

 弁護人「鬱(うつ)病の薬は飲んでましたか」
 被告「はい」

 弁護人「今は」
 被告「飲んでいません」

 弁護人「今も気分が塞ぐことはありますか」
 被告「はい」

 弁護人「今回のことは鬱病のせいだと思いますか」
 被告「いいえ、私のしたことが悪いです」

 弁護人「社会復帰したらどうしますか」
 被告「まじめにコツコツ働いていこうと」

 弁護人「大学の先生やいろんな人に迷惑をかけたことはどう思っていますか」
 被告「私のような愚かな人間を受からせて(合格させて)くれたのに、大学の名を汚してしまったことも申し訳ないと思います」

 弁護人「親御さんに対しては」
 被告「二度としないよう誓って、社会のために生きていこうと」

 《蒔田被告の声は次第に小さくなり、うつ向き加減にぼそぼそと答えた》

 弁護人「お母さんが監督してくれると言っていますが、応える気持ちはありますね」
 被告「あります」

 弁護人「改めて強盗未遂事件の被害者に対してはどう思ってますか」
 被告「身勝手な犯行によって肉体的、精神的に大きなダメージを与えて申し訳ないです」

 弁護人「窃盗(置引)の被害者も快く示談に応じてくれましたが」
 被告「私の恥ずべき行為で迷惑をかけて申し訳ないです」

 《弁護人の質問は終わり、続いて検察側の質問に移った。若い女性検察官が立ち上がった》

 検察官「最初に犯行について女性と話したのはいつですか」
 被告「出会って2、3日後」

 検察官「どっちからそういう話をしたのですか」
 被告「お互いにそういう話になって」

 検察官「どういう話」
 被告「女性が仕事を辞めてお金が入ってこないので…」

 検察官「お金がないから犯罪とは飛躍がありますが、きっかけはどっちから」
 被告「はっきりどっちからかは覚えていません」

 検察官「あなたなのか、女性からなのか覚えてないの」
 被告「…」

 《検察官は蒔田被告が黙り込んだため、やや苛立った口調で質問を続ける》

 検察官「女性に対して『女は金になる』と言ったことはありますか」
 被告「ないです」

 検察官「一度も」
 被告「はい」

 検察官「どっちから犯行しようと言ったか、覚えてないの」
 被告「はい」

 《女性は自らの公判で「(蒔田被告が)『女は金になる』」「犯行を持ちかけられた」などと供述していたため、検察官はそれを確認しようとする。しかし蒔田被告はあいまいな返答を繰り返した》
 =(4)に続く

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