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2008年09月03日(水) 14時21分

【痴漢でっち上げ「主犯」公判】(2)「次は大阪環状線で…」“第2の犯行”共犯女が提案!?産経新聞

 大阪市営地下鉄内での痴漢でっち上げ事件の「主犯」とされる蒔田文幸被告(24)に対する被告人質問はさらに続き、同被告は失敗した後、共犯の女から「次は大阪環状線で…」と“第2の犯行”を持ちかけられたと供述した。話すうちに泣きじゃくり、被害者の男性に土下座しようとして制止される場面もあった。
 弁護人「当日、実行に移すと持ちかけたのは誰ですか」
 被告「2人で話し合って決めました」
 弁護人「具体的に当初の計画では、どのように演じて、どうやって金銭を得る予定だったんですか」
 被告「痴漢の加害者をでっち上げて、駅長室に行くと言ったら普通の人は…」
 裁判官「もっと大きな声で」
 《比較的よく通る声で話す蒔田被告だが、次第に声が小さくなり、裁判官から大きな声で話すよう注意を受けた。一瞬驚いた様子を見せ、しばらく考え直してから、再び話し始めた》
 被告「痴漢の加害者をでっち上げて、お金をゆすろうと考えていました」
 弁護人「どのタイミングで金銭を請求するんですか」
 被告「…」
 弁護人「通常、本当に痴漢被害に遭ったとしたら、駅長室へ行って、その後もしかしたら警察署へ行ってということになると思いますが」
 被告「電車から降りて、駅長室へ行きましょうと言って、相手が断ったときにお金を請求するつもりでした」
 弁護人「本当は駅長室や警察へ行く予定はなかったと」
 被告「はい」
 弁護人「では、今回の事態は想定外だったということですか」
 被告「はい」
 弁護人「今回の被害者に金銭は請求したんですか」
 被告「いいえ。普通の人なら駅長室へ行くのは断ると思ったんですが、そのまま行くと言われたので、引くに引けない状態になりました」
 弁護人「虚偽申告を撤回しようとは考えなかったんですか」
 被告「頭をよぎったことはありましたが、駅長室へ行ってしまって、無理だと思いました」
 弁護人「今回、大阪市営地下鉄御堂筋線を選んだのは、あなたですか、女性ですか」
 被告「彼女が大阪に住んでいて大阪に詳しいということで、彼女に案内してもらいました」
 弁護人「犯行翌日の2月2日、女性から『JRの大阪環状線でやらないか』というメールを受け取ってますね」
 被告「はい」
 弁護人「それを持ちかけたのは誰ですか」
 被告「彼女です」
 《蒔田被告は共犯の女が新たな痴漢でっち上げを持ちかけていた“事実”を明らかにした》
 弁護人「あなたは環状線でも痴漢被害が多いと知っていたんですか」
 被告「知らなかったです」
 弁護人「(今回の犯行で)あなたは『難波から天王寺の間でやろう』と指示したことはありますか」
 被告「ありません」
 弁護人「被害者を選んだのは誰ですか」
 被告「彼女です」
 弁護人「事前にどこまで決めていたんですか」
 被告「距離をあけて歩いて、お互い知らない人という設定で電車に乗り込み、彼女が男の人に話しかけた瞬間に僕が行くという設定でした」
 弁護人「声をかけるタイミングはどちらが決めた」
 被告「彼女に決めてもらいました。『私が声かけるから、そのとき、文(ふみ)が出てきて』と」
 《蒔田被告は女性から「文(ふみ)」と呼ばれていたという。女性が犯行に積極的に関与していたことを示す発言内容で、信憑性も感じさせるが、女性は自らの公判でこの点について『それはないです』と明確に否定している》
 弁護人「あなたから女性に指示したことは」
 被告「距離をあけて歩くことと、携帯電話のメモリーを消すことを言いました」
 弁護人「他に指示したことは」
 被告「他はありません」
 弁護人「あなたは逮捕直後の取り調べで、今回の虚偽告訴について素直に認めましたか」
 被告「はい」
 弁護人「被害者の男性は何もしてないのに留置されましたね。男性に対してどういう気持ちを持っていますか」
 被告「僕のお金がほしいという、ジコチュー(自己中心的)な理由だけで……」
 《上体をやや前傾姿勢にし、弁護人の質問に答えていた蒔田被告の言葉が止まった。首筋が紅潮し、涙をぬぐい始める》
 被告「被害者の方は…、牢屋に入れられて、言葉に表せないぐらいの屈辱を与えました…。娘さんにも大きな心配を与えてしまいました。本当に…とんでもないことをしてしまいました」
 《涙を流し、嗚咽を漏らす蒔田被告。膝の上で握りしめた両手の拳に、ぼろぼろと涙が落ちる》
 被告「本当にすいませんでした。もうこのようなことは二度としません」
 《静まりかえる法廷。十数秒ほどの沈黙の後、弁護人が『大丈夫ですか』と問いかけた時だった。下を向いて泣き続けていた蒔田被告が突然立ち上がり、傍聴席に向かって土下座をしようとする》
 被告「すいませんでしたあ…」
 《勢いよく突然立ち上がったため、刑務官が両側から制止。「ここで謝らないでください」という裁判官の一際大きな声が響き、蒔田被告は席に戻った》
 《肩を震わせる蒔田被告が落ち着くのをしばらく待ち、弁護人がようやく質問を再開した》
 弁護人「次に、強盗未遂事件(美人局)のことを聞きます」
 被告「…」
 弁護人「聞こえてますか」
 被告「はい」
 弁護人「1月30日に、呼び出した男性に『金出せ』と言って暴行を加えていますが、動機はなんですか」
 被告「お金がほしかったからです」
 弁護人「出会い系サイトを利用して呼び出してますね。きっかけは何ですか」
 被告「彼女が以前に利用していたということで」
 弁護人「出会い系で呼び出すというのは誰のアイデアですか」
 被告「2人で決めました。以前、彼女がツーショットチャットを使っていたというのがヒントになりました」
 弁護人「大学の教授に何か相談に行ったことはありますか」
 被告「はい。痴漢の被害に遭ったらいくら取れるのか、不倫の相手からいくら取れるのかということを聞きました」
 弁護人「そもそも、出会い系サイトにアクセスしたインターネットカフェに入った理由はなんですか」
 被告「街を歩いていて彼女が疲れたから入りました」
 弁護人「あなたがツーショットチャットにアクセスするよう指示したのですか」
 被告「いいえ。彼女が以前から知っていましたので」
 弁護人「あなたと女性の会話のやりとりを覚えてますか」
 被告「彼女が『今から呼び出す』というので、お金をどうやって取るか相談しました」
 《2人はネットカフェの中で、出会い系で誘い出した男性から、まず財布をするチャンスをうかがい、それ無理ならホテルに入る写真を撮って脅し、両方とも無理なら暴行して金を奪うという3段階の方法を決めたという。最終的に、被害者は蒔田被告から暴行を受けたが、たまたま通りかかった通行人の女性が「やめたり」と言って蒔田被告に現金を渡し、蒔田被告らは現場から逃走していた》
 弁護人「暴行の後、通りかかった通行人からお金をもらいましたね」
 被告「はい。5000円札2枚で1万円もらいました」
 弁護人「そのお金どうしましたか」
 被告「逃げるタクシーの中で彼女と5000円ずつ分けました」
 《女は金を折半してないと公判で供述しており、ここでも、2人の言い分は食い違った》

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