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2008年09月02日(火) 00時18分

<首相退陣表明>総裁選で関心喚起 解散総選挙へ弾み狙う毎日新聞

 福田康夫首相の退陣表明を受けて、自民党は総裁選を早期に実施する。小沢一郎代表の無投票3選が確実な民主党代表選(9月8日告示、21日投開票)に代わり、複数の候補が競い合うことで有権者の関心を引きつけ、年内の解散・総選挙へ弾みを付ける狙いだ。総裁選は、麻生太郎幹事長を軸に進むと予想されるが、党内に反発もあり予断を許さない。【犬飼直幸】

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 福田首相は臨時国会を12日に召集し、会期を70日間にする意向だったが、退陣表明でご破算となった。

 小泉純一郎元首相の後継を決めた06年総裁選は「9月8日告示・20日投開票」、安倍晋三前首相の辞任に伴う07年総裁選は「9月14日告示・23日投開票」の日程で行われた。今回は本格的な党員投票を行う方針で、2週間程度を要する見通しだ。

 後継首相の国会指名と新内閣発足は早くても9月下旬。臨時国会召集は、それ以降にずれ込む。臨時国会の課題は、▽総合経済対策の裏付けとなる08年度補正予算案▽インド洋での給油活動のための新テロ対策特別措置法の延長−−などだが、参院で多数を持つ民主党はどちらにも反対しているため、次期政権は新テロ特措法の延長は断念し、補正予算案の成立に集中せざるを得なくなりそうだ。

 このため、次期政権は補正予算案の衆院通過後、30日後の自然成立を待って、11月にも解散・総選挙に踏み切る可能性が強く、字通り「選挙管理内閣」となる公算だ。

 福田首相が麻生幹事長を起用した際、「政権禅譲密約」説がささかれた。公明党は、年末年始の衆院解散・総選挙の実現を狙い、臨時国会の召集時期や定額減税などをめぐり、福田首相に要求を呑ませてきたが、今回の辞任で同党幹部は「さらに解散は早まった」との見通しを語る。

 公明党の支持母体の創価学会幹部は、麻生氏が総裁選で勝利することを前提に「麻生氏とは、首相になった場合、補正予算案成立などで内閣支持率を上昇させた上で、衆院解散を行うことを確認している」と漏らす。

 こうした経緯から、総裁選は麻生氏を軸に進むとみられるが、最大派閥・町村派の中川秀直元幹事長が麻生氏の財政出動路線を批判しており、自らが率いる「上げ潮派」を勢力基盤として、小池百合子元防衛相を擁立する可能性もある。

 麻生氏が幹事長就任の際、第三派閥の古賀誠選対委員長を党四役から外そうとしたとされる問題も尾を引き、第一派閥の青木幹雄前参院議員会長との関係も良好ではない。

 古賀派の谷垣禎一国交相や山崎派の石原信晃元国交相の名前も候補に取りざたされている。麻生派は所属議員20人の小所帯で、他派閥の協力が不可欠。どこまで支持を広げられるかが焦点となる。

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