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2008年09月02日(火) 16時48分

反ロシア派の著名なWebジャーナリスト、当局に拘束され死亡Computerworld.jp

 ロシアの報道各社は先ごろ、反ロシア色の強いイングーシ共和国に住む著名なWebサイト・オーナー、マゴメド・エブロイエフ(Magomed Yevloyev)氏が8月31日、当局による逮捕後射殺されたと報じた。

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 エブロイエフ氏はモスクワから帰国後すぐ、イングーシ共和国の首都ナズランでロシア内務省の職員により身柄を拘束され、こめかみを撃たれたという。

 エブロイエフ氏は、自身のWebサイトに政治的な批判記事を掲載する反体制派として知られ、幾度となく脅迫を受けてきたとされる。同サイトはイングーシ共和国に関するニュースを配信しており、ロシアの通信社Novostiによると、8月に裁判所から「過激主義」として閉鎖を命じられていた。

 ロシア当局側は、エブロイエフ氏の死亡は偶発的なものと発表した。逮捕に抵抗した同氏が、偶発的にこめかみを撃たれたとしている。

 人口の大部分がイスラム教徒であるイングーシ共和国は、歴史的にロシアとつながりの深い半自治区だ。同共和国の西隣にはグルジアの北オセチア共和国、東隣にはチェチェン共和国がある。

 エブロイエフ氏は2007年10月、イングーシ共和国の大統領であるムラト・ジャジコフ(Murat Zyazikov)氏に対し、同氏の暗殺を企てたとして厳しく批判した。国境なき記者団によると、エブロイエフ氏のWebサイトで編集者を務めていた女性は先月、身の危険を感じてイングーシからヨーロッパに身を移したという。

 ロシアにとって都合の悪い問題を報じ殺害されたとみられるジャーナリストはエブロイエフ氏だけではない。2006年10月には、チェチェン共和国の人権問題を取材していたジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤ(Anna Politkovskaya)氏が自宅アパートで射殺されている。この事件はいまだに未解決のままだ。

 エブロイエフ氏は、ロシアの軍事的キャンペーンの直後に死を迎えたことになる。ロシアのキャンペーンとは、形式上はグルジアに属するものの独立を目指している2つの共和国(南オセチアとアブハジア)からグルジア軍を立ち退かせることだ。国境なき記者団によると、グルジア情勢を取材していた少なくとも3人のジャーナリストが殺害されたという。

(Jeremy Kirk/IDG News Serviceロンドン支局)

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