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2008年09月01日(月) 12時00分

米軍が進める、各種のレーザー兵器プロジェクトWIRED VISION

米陸軍が、35トンを超す大型トラックにレーザー砲を搭載する計画の実現を進めている。

米Boeing社の発表によると、米陸軍はこのほど、「ロケットや大砲の砲弾、迫撃砲弾を破壊するトラック搭載型高エネルギーレーザー兵器システムの開発継続分」の契約を、同社に3600万ドルで発注したという。

[以下、Boeing社の発表から引用する。]

8月15日(米国時間)に受注した『High Energy Laser Technology Demonstrator』(HEL TD:高エネルギーレーザー技術デモンストレーター)の第2フェーズの契約に従い、Boeing社はこれより『Heavy Expanded Mobility Tactical Truck』(HEMTT:重高機動戦術トラック)に搭載する強力なビーム制御システムの設計を完了し、その製作、テスト、評価を行なう。また、HEL TDレーザー兵器システム全体のシステム工学上の要件も開発する。

低出力でのデモンストレーションは2010年に、実戦波の高出力での実験は2013年に行なわれる予定だ。

1年ほど前、米陸軍は高エネルギーレーザー(HEL)ビーム制御システムの基本設計をBoeing社と米Northrop Grumman社に発注し、採用するモデルを2009年までに選ぶ意向を表明していた。どうやら、開発プロジェクトは順調に進んでいるようだ。

エネルギー兵器開発プロジェクトは、同プロジェクトのほかにもいくつかある[関連記事参照]。どれも、数十年にわたって実現の約束が果たされてこなかったが、ここへ来てようやく順調に動き出しているものだ。

例えば、比較的配備しやすい電力を用いたレーザー[Solid State Heat Capacity Laser (SSHCL)]は、最近ようやく兵器として使えるレベルに達した。

またBoeing社は先ごろ、攻撃機にレーザー兵器を搭載する『Advanced Tactical Laser』(高度戦術レーザー兵器:ATL)に関して、本物の「光線銃」の試射を行なった。

開発者によれば、ATLは、さまざまな地上の対象物に対して「超精密な攻撃能力」を可能にするとされる。100キロワット程度の出力で、戦闘用車両などを「完全に破壊」するか、タイヤを破壊するかなどの調整が可能。上の画像は、26秒間の間に、搭乗した人間には影響を与えないで、タイヤやアンテナ、ミサイル発射台、マシンガンなどを破壊するというコンセプトだという。

一方、米Raytheon社は、同社の『Phalanx』迫撃砲弾撃墜システムで、従来の弾薬の代わりにファイバーレーザーで標的を撃破できるバージョンの試作品を完成させた。

また、Boeing社の747型機を改造し、弾道ミサイルをレーザーで迎撃するシステム『Airborne Laser』(ABL、空中発射レーザー)も、開発計画が遅れに遅れていたが、ようやく飛行テストにこぎつける可能性が出てきた。

動画はBoeing社による。

[YAL-1は、メガワット級の酸素-ヨウ素化学レーザー(COIL)を搭載し、主にスカッドミサイルのような戦術弾道ミサイルを加速段階で撃墜するために設計された試験機。ミサイルを焼き切るわけではなく、ミサイル表面に熱を加えることで表面を弱らせ、飛翔中の圧力で機能不全を引き起こさせる。2006年にはCOILの地上試射において、必要な出力を必要な時間照射することに成功したという。

別の英文記事によると、開発には12年間と38億ドルがかかった。2009年にはテスト飛行を開始する予定という。]

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080901-00000002-wvn-sci