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2008年09月01日(月) 22時13分

首相退陣表明 世論の批判必至 与党対策苦慮毎日新聞

 福田康夫首相が突然、辞任を表明したことで、12日の臨時国会を前に政局は一気に混迷化した。臨時国会の召集は12日に迫っているが、総合経済対策を実行に移すための補正予算案や新テロ対策特別措置法の延長問題、首相肝いりの消費者庁設置法案などが成立するめどが立たず、自ら退くことで打開しようとする考えだとみられるが、政権を投げ出したとの世論の猛批判は免れようもない。自民党は総裁選の準備に入るとみられるが、同党は次期衆院選に向け一層厳しい対応を迫られることになった。

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 「退陣だろう」「いや早期解散だ」。福田首相が緊急記者会見をするとの情報が流れた1日午後8時過ぎ、永田町では情報が飛び交った。

 多くの議員には「寝耳に水」で、首相に近い参院自民党参院幹部でさえ会見30分前の段階で「何も聞いていない」と繰り返した。公明党の支持母体である創価学会幹部も「いったいどうなっているんだ」と声を震わせた。

 首相は昨年9月の党総裁選で、記者会見で「トップリーダーに大切なもの」を問われ、「辞める時の決断だ」と歯切れ良く語っていた。参院選惨敗後に続投しながら、結局政権を放り投げた安倍晋三前首相について「決断の時期を間違えられたと思う。本当に苦しい道を自身が歩む決断がなければ、(続投の)決断はしてはいけない。(辞任は)最後の最後に決断すべきで、タイミングが適当ではなかった」と痛烈に批判していた。

 しかし結局は、安倍氏と同じように政権を途中で放棄し、自ら掲げた09年度からの道路特定財源の一般財源化をはじめとする政策課題の行方は不透明になった。

 1日は民主党の小沢一郎代表が党代表選への立候補を正式に表明。小沢氏の無投票による3選が確実になったが、公明党が臨時国会の焦点となっている新テロ対策特別措置法の延長の前提として強く求めている与野党協議が整うメドはまったく立たず、補正予算案にも民主党は反対姿勢を示している。

 切り札と期待した内閣改造も政権浮揚効果は乏しく、かえって新任の太田誠一農相の事務所費問題などが噴出。臨時国会で野党に格好の攻撃材料を与える始末となっている。

 しかも参院で野党に過半数を握られた「ねじれ国会」で、世論の批判と裏腹の衆院再可決を繰り返して重要法案を成立させられるだけの政権の体力は失われ、公明党の離反の可能性すら自民党内でささやかれていた。

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