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2008年09月01日(月) 22時13分

首相退陣表明 最後も追い込まれ 「ねじれ」に苦しむ毎日新聞

 福田康夫首相が1日夜に突然退陣表明したのは、与野党が本格的に激突する次期臨時国会(12日召集)の前に内閣支持率が低迷する自らの進退をはっきりさせる必要があると判断したとみられる。追い込まれた末の退陣は昨年9月の安倍晋三前首相に続くもので、次期衆院選に向けて与党が劣勢に立たされるのは避けられない。

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 「進むも地獄、引くも地獄と判断されたのではないか」。自民党閣僚経験者は首相の心境をおもんばかった。しかし、「安倍氏に続き、政権を途中で放り出した」との批判は免れないことになる。

 自民党内には、退陣表明について「土壌を民主党が築き、最後の引き金を公明党が引いた」との見方が広がっている。それは福田政権の1年の流れから必然の評価だ。

 首相は昨年9月の就任以来、衆参両院で与野党勢力が逆転する「ねじれ国会」の下での政権運営に苦しみ、民主党との協議に活路を求めた。その最終到達点が、昨年11月の民主党の小沢一郎代表との党首会談などを経て模索した「大連立」構想だった。

 しかし、大連立は民主党内の反発によって頓挫。その結果、首相は自らの意に反するように民主党との対決姿勢を強めた。

 今年1月には、海上自衛隊によるインド洋での給油活動を継続するための新テロ対策特別措置法で、民主党など野党の反発にもかかわらず、参院否決後の再可決という「奥の手」を57年ぶりに断行。その後、ガソリン税の暫定税率を復活させる租税特別措置法改正案の成立など、2回も再可決という強硬手段を使い続けた。

 しかし、その後も内閣支持率は低迷。政権浮揚の「起死回生策」を狙った8月の内閣改造・自民党役員人事を経ても支持率は上昇しなかった。このため、与党内には「福田首相の下では次期衆院選は戦えない」(公明党幹部)といった交代論が出たほか、自民党の麻生太郎幹事長に近い中川昭一元政調会長や甘利明前経済産業相らが「福田降ろし」の動きを公然化させるなど、政権運営は行き詰まることになった。

 この中で、公明党は年末・年始の衆院解散・総選挙を主張。臨時国会召集時期・会期、総合経済対策を中心に要求のハードルを上げ続け、与党内にも解決しなければならない大きな問題が起こった。

 首相は「福田カラーを出すことに全力を尽くす」(周辺)として、来年度予算案成立の後の衆院解散を模索したとされるが、こういった政治情勢の中では立ちいかないと判断したとみられる。

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