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2008年09月01日(月) 15時35分

「防災の日」59万人総合訓練 東南海・南海地震を初想定産経新聞

 「防災の日」の1日、政府は東南海・南海地震を想定し、大阪府をはじめ関係各機関と連携し、首相官邸や大阪府岸和田市などを会場に総合防災訓練を実施した。同地震をメーンテーマとする総合防災訓練は初めて。岩手・宮城内陸地震や東海の記録的豪雨、中国の四川大地震など、今年も内外で大きな災害が相次ぐ中での訓練で、30都道府県で59万人が参加した。

 午前6時半、和歌山県南方沖でマグニチュード(M)8・6の地震が起き、大阪府で震度6強を記録したとの想定。各省庁の局長クラスで構成する緊急参集チームが首相官邸に集まり、臨時閣議の後、福田康夫首相が模擬会見し、「国民のみなさまには大災害に冷静に対応し、人命救出・消火活動に協力をお願いします」と冷静な対応を呼びかけた。その後大阪府の橋下徹知事とテレビ電話で会議。橋下知事が「現在、人命救助を最優先として対策に当たっています」と報告するなど、被害を想定した具体的なやりとりが行われた。

 一方、メーン会場の岸和田市では自衛隊と警察、消防、海上保安庁などによる列車脱線事故や建物倒壊現場での救出作業や、津波で海上に流された人や座礁したフェリー乗客の救助などを実施した。関西空港では航空機を使った負傷者の広域医療搬送が盛り込まれた。

 政府中央防災会議による両地震同時発生時の被害想定は最悪の場合、建物倒壊や火災、津波などによる死者約1万8000人、建物の全壊約36万棟、経済損失約57兆円に上る。

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【用語解説】東南海・南海地震

 静岡県沖から四国沖にかけて延びる南海トラフ(ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの接触域)を震源に、100〜150年周期で起きているM8以上の巨大地震。前回の発生は東南海が昭和19年(M7.9)、南海が21年(M8.0)だったが、過去の安政(1854年、M8.4)や宝永(1707年、M8.4)などではほぼ同時に発生した。また前回は静岡県沖の東海地震が起きておらず、安政東海・南海地震から150年が経過していることから、東海地震発生が差し迫っているとされている。

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