記事登録
2008年08月31日(日) 19時25分

<ニホンジカ>ニッコウキスゲ食害防止で捕獲へ 尾瀬毎日新聞

 ニホンジカによるニッコウキスゲの食害が深刻化している尾瀬国立公園で、環境省は来年度から特別保護地区でもシカの捕獲に乗り出す方針を明らかにした。福島県檜枝岐村で31日に開かれた尾瀬サミットで報告した。

 ニホンジカはもともと尾瀬に生息しておらず、栃木、群馬県側から入りこんだとみられる。同省の推計によると、00年に76頭だったが07年に241頭に増加。湿原の地面を掘り返し、ニッコウキスゲやミズバショウなどの食害が確認された。

 特別保護地区は尾瀬ケ原や尾瀬沼など、国立公園内でも特に原生的な自然が残る中核地域で、動植物の採取が規制されている。同省は00年に保護地区の外側でシカを捕獲する方針を決めた。しかし、十分な効果が上がっていない。現在実施中の被害状況調査を踏まえ、年内に専門家による協議会を開き、捕獲手段や実施区域など具体的方法を検討する。

 黒田大三郎・同省自然環境局長は「保護区内でシカを捕獲しないことを前提とせず、効果的な中身に改めたい」と述べた。

 シカの食害に詳しい木村吉幸・福島大教授(動物生態学)は「湿原を形成する泥炭は年1ミリずつ積み重なるが、シカは一度に数センチも踏み荒らし、被害は深刻だ。だが、シカの侵入経路をきちんと解明し、地区内に入るシカを減らすことも必要だ」と指摘している。【足立旬子、太田穣】

【関連ニュース】
シカ肉料理:クセがなく、おいしい 延岡・北浦で試食会 /宮崎
シカ食害:奥秩父の自然林守れ ニホンジカ捕獲、県と都が共同作戦 /埼玉
黒毛和牛:獣害対策で放牧 2頭が相次いで雄牛出産−−東近江 /滋賀
鳥獣被害防止計画:シカ、毎年100頭捕獲 名張市が策定、3年計画 /三重
シカ食害:ニホンジカの防護柵を設置 高山植物食害守る−−南ア仙丈岳 /長野

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080831-00000049-mai-soci