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2008年08月30日(土) 20時56分

<タイ>サマック首相、退陣要求拒否したものの困難な選択毎日新聞

 【バンコク藤田悟】タイのサマック首相は30日行われた式典のあいさつで「脅しによって私をやめさせることはできない」と述べ、首相府占拠を続ける市民団体「民主市民連合」の退陣要求を改めて拒否した。首相はプミポン国王の助言を得たうえで事態打開策を決定するとみられるが、市民連合の抵抗姿勢は強く、困難な選択を迫られている。

 首相は「私には国家を平和的に前進させる責任がある」と述べ、辞任の可能性を否定した。これに対し、市民連合は「我々は抗議行動を続けるだけだ」と宣言した。

 市民連合は要求を「政権退陣」の一点に絞り、一切の交渉に応じない姿勢だ。このため首相の選択肢としては(1)デモ隊の強制排除(2)首相辞任(3)下院解散・総選挙−−のいずれかが想定される。

 デモ参加者は1万人以上の規模で、強制排除という手段を取れば流血の事態は不可避となる。また、軍が介入に難色を示しているといわれ、場慣れしていない警察を強制排除に使えば混乱を広げる恐れがある。

 一方、首相が党首を務める最大与党「国民の力党」の中では、党を傷つけないために首相に勇退を促そうとの動きも出始めている。地元紙の多くは事態を収拾できない首相に対して辞任を求める論調を強めており、首相に対する圧力は増している。

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