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2008年08月30日(土) 15時49分

金総書記の元家庭教師証言「恥ずかしがり屋だった」 産経新聞

 【ソウル=水沼啓子】1970年代、北朝鮮・故金日成主席の“ロイヤルファミリー”の元家庭教師が書き記した金正日総書記の少年時代の話が、米国の外交専門誌「フォーリンポリシー(FP)」最新号(9〜10月号)に掲載された。

 寄稿したのは、平壌師範大学の露語露文の教授だった金ヒョンシク氏(76)。大学の教壇に立つ傍ら、金主席の親族の子供らの家庭教師をしていたが、92年に脱北して韓国に亡命。現在は米国バージニア州ジョージ・メイソン大学の教授を務める。

 「金正日の隠された歴史(The Secret History)」というタイトルで掲載された論文で、金氏は「非情で気まぐれな独裁者と知られる金正日を59年10月に初めて見たときは『顔をすぐ赤らめる恥ずかしがり屋の生徒』だった」と振り返った。

 当時、金正日氏は平壌にある南山高級中学校(高校)の3年生で17歳。ロシア語の実力が思わしくないことにいらだった父親の金主席が、正日氏の語学の実力を試そうと直接、正日氏の学校に派遣したという。

 「金正日は、ロシア語の文法はよく知っていたが、会話はさっぱり。偉大なる指導者の息子ということをそぶりにも出さず黙々と試験を受けた」と記憶しており、「会話の試験の最中は顔を赤らめ、額は汗でびっしょりだった」「たどたどしいロシア語で『私はお父さんをいちばん愛し、尊敬する』『私はスポーツより映画をさらに楽しむ』と答えた」と回想した。

 脱北後、北朝鮮に残してきた家族が強制収容所に送られ、処刑されたという消息を聞き、「金正日が私の家族にしたことを考えるとあまりにもつらく、彼を殺して自分も自殺することを何度も考えた」という。

 金氏は「北朝鮮の人民が自由と繁栄を享受できるようになる日まで、50年前は純真だった少年がどのように怪物に変わったのか世界に知らしめる」としている。

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