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2008年08月27日(水) 12時00分

文学やネットの世界では、なぜ猫の支持率が高いのか?R25

あなたは犬派? それとも猫派? …仲間内でそんな議論を交わした経験が、誰しもあるだろう。犬と猫はある意味、永遠のライバル関係といってもいい。

しかし、何となくだが文学やネットを含めた“メディア登場頻度”でいえば、若干、猫に軍配が上がるような印象がある。里親掲示板などでより大きな盛り上がりを見せているのは猫板だし、ネット上の投票結果(下記グラフ ※R25.jpではグラフが表示されています)を見ても、6割以上が「猫に決まってる!」ようだ(8月中旬現在)。

そこで、作家のペットをモチーフとしたコロナ・ブックス『作家の猫』と『作家の犬』を刊行する平凡社に尋ねてみた。

「もともと猫を飼っている作家が多いことから、猫好きの編集者が考案したのがこの企画です。作品論に深入りせずに、身近なペットを介して作家のパーソナリティをあぶり出せないか、という狙いでした。猫版が売れたので犬版へと続いたのですが、売れ行きでは圧倒的に猫優勢で、ざっと4倍ほどの開きがありますね」(平凡社・清水さん)

売れ行きでも、やはり猫が圧勝。でも、それってなぜだろう?

「猫好きな人というのは種類に関係なく、三毛猫だろうと他人の飼ってる猫であろうと、何でもかわいいと感じるようです。逆に犬派の人は、種類や好みが限定される傾向があるようですね」(同)

たしかに犬は、小型犬と大型犬でもだいぶ趣向が分かれそうだ。

「忠犬ハチ公をはじめ、犬は様々なドラマを知ると面白いけど、猫はひたすら“かわいい”で済んでしまう。わかりやすさの差が、取り上げられ方の差につながっているのではないでしょうか」

一方で、文学界側の意見も聞いてみた。「人は不意を突くものを好む」と指摘するのは、SF作家の冲方丁氏だ。

「たとえば企業のモチベーション研究でもこの点は明らかで、不意を突くボーナスと規定されたボーナスでは、好影響を与えるのは前者であるというのが通説。その点、犬は不意を突きません。というより、不意を突かないよう訓練されて初めて飼い犬となれるわけです。小説は大衆娯楽であれ文学であれ、読者の不意を突くことを求められますから、大半の物書きが猫にならおうとしているのでは?」

なるほど…。なんだか妙に納得させられてしまう、猫と文学の密接な関係。従順な女性よりも、一筋縄ではいかない手強い女性の方が追っかけたくなる、そんな心理に近いのでしょうか?
(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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