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2008年08月27日(水) 17時16分

土壌診断して適正施肥 肥料高騰対策でJA紀南(和歌山)紀伊民報

 世界的な肥料の高騰が農家の経営を圧迫していることを受け、JA紀南(本所・田辺市)は、管内の全生産者を対象にした土壌診断に取り組んでいる。土壌中の肥料成分を分析し、土壌に応じた適正な施肥を提案することで農作物の生産コストを削減することが目的。JAは「管内でも肥料高騰は深刻。この機会に1人でも多くの利用を」と呼び掛けている。
 肥料の高騰は、食糧やバイオ燃料の需要拡大、原油高による輸送コストの増大などが原因。JA紀南指導部によると、特に値上げ幅が大きいのは、リン酸やカリを含んだ化成肥料で、昨年より4〜5割値上がりしている。
 土壌診断は年4回、希望者だけに実施していたが、今回は初めて管内で3000戸以上ある全生産者に呼び掛けた。1回目の7月は梅、スモモなどの落葉果樹や野菜、花きを栽培する農家400〜500戸を対象に、園地から採取した土壌約1400点を田辺市中三栖の三栖支所で診断した。
 その結果、5〜6割の土壌が、リン酸が「過剰」であることが分かった。作物の生育を促すリン酸を土壌に十分にまいている農家が多いが、成分が残りやすいという。石灰、酸化マグネシウムについても、果樹園では過剰気味だった。野菜と花きの園地では、カリが不足気味だった。分析結果は診断書として生産者に渡し、今後の施肥の参考にしてもらっている。
 2回目の診断は9月上旬に実施する。ミカンと水稲は、収穫が終わった11〜12月に診断する。
 JA紀南は7月下旬から8月上旬にかけて計2回、肥料を適切に施すための研修会を生産者を対象に開いた。化成肥料に比べて値上げ幅が小さい堆肥(たいひ)や有機物の投入、成分を減らした安い肥料の開発などにも取り組んでいる。
 指導部の田中壽一部長は「果実や米は肥料高で生産コストが上がっている半面、販売価格は下がっている。削れるところは削っていき、農家の経営安定につなげたい」と話している。

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