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2008年08月26日(火) 17時38分

【共犯尋問(6)】緒方被告「神輿に担がれるわけですから、頼みますよ」産経新聞

 《午後3時13分、予定より3分遅れて林正彦裁判長らが入廷。続いて証人の河江浩司被告が入廷し、公判が再開された》

 《休憩前に尋問していた検察官とは別の男性検察官が立ち上がり、発言を求めた。「確認したいことがあります」。どうやら休憩前の河江被告の発言に不可解な点があるようだ》

 検察官「(19年)5月31日夜の売買契約をしたときのことですが、土屋弁護士らに緒方被告らは代金の支払いは大丈夫と言っていましたね。証人はどのように言ったのですか」
 河江証人「登記が完了したのを確認したら(航空ベンチャー会社社長のAさんが)代金を出してくれると言いました」

 検察官「緒方被告は何と言いましたか」
 河江証人「登記を確認した段階で払う、と言いました」

 検察官「満井被告は」
 河江証人「登記(移転を)確認を完了したら払うと言いました」

 検察官「土屋弁護士らは、登記を移転すればAさんが資金を間違いなく出してくれる、と信じたから契約を締結したということですね」
 河江証人「はい」

 《検察側冒頭陳述によると、Aさんが出資の申し出を断っていたにもかかわらず、3被告は朝鮮総連に投資家がいるかのような偽りの説明をし続けた。検察側は3被告の“共謀”を立証したいようだ》

 検察官「(19年)4月18日に土屋弁護士事務所へ行く前、満井被告からはどのようなことを言われましたか」
 河江証人「すでに投資家と詰めの段階の話をしているように言ってくれ、と言われました」

 検察官「それはどのような投資家を指しているのですか」
 河江証人「30億円を間違いなく出してくれるような投資家です。具体的には、○○(大手薬品販売会社)を投資家に見立て、この契約を締結する詰めの交渉をしてると言い切ってくれ、と言われました」

 検察官「実際には、○○と詰めの話をしている状況では全くなかったんですね」
 河江証人「はい」

 《ここで別の男性検察官に交代し、質問を引き継いだ》

 検察官「グランドハイアット東京に行った(19年)4月24日のことについてうかがいます。この日、緒方被告と会いましたか」
 河江証人「はい。夜7時くらいに緒方さんの事務所で会いました」

 検察官「このとき、事務所には誰がいましたか」
 河江証人「緒方さんと満井さんです。満井さんとは一緒に事務所の下まで車で行きましたが、『私は別件があるので、あなたはコーヒーでも飲んで待っていてください』と言われました」

 検察官「緒方被告は、いつまでに本件を終わらせると総連に言っていましたか」
 河江証人「『今月(19年4月)中に契約の締結を終わらせると言ってあるんだよね』と言っていました」

 検察官「登記についてもですか」
 河江証人「所有権移転登記も含めて、と言っていました」

 検察官「満井被告はそれに対して、何と言っていましたか」
 河江証人「『そうです。そういうことで金を引いてあるので』と言っていました」

 検察官「それはどういう金だと思いましたか」
 河江証人「4月18日に満井さんの部屋で見せてもらった、総連から受け取った前さばきの金だと思いました」

 検察官「それに対して、緒方被告は何と言っていましたか」
 河江証人「『そうだよね、だからやらなきゃいけないんだよね』と、同調することをおっしゃっていました」

 検察官「それはどういう意味だと思いましたか」
 河江証人「今月中に契約を締結するということで、前さばきの金を受け取ってきたんだろうな、と」

 検察官「証人は、そのやりとりを聞いて、緒方被告は満井被告が総連から金を受け取っていることを知っていると思いましたか」
 河江証人「はい」

 検察官「投資家について、満井被告は緒方被告に何か提案していましたか」
 河江証人「投資家が集まっていなかったので、『所有権移転登記を先にやるのはどうか』と」

 検察官「それに対して緒方被告は」
 河江証人「『せめて手形か何かつけないと、土屋先生には信じてもらえない』と言っていました」

 《その後、特別目的会社(SPC)の設立も検討されたが、時間がかかることから緒方被告は『間に合わないね』と、この案を却下したという。結局、証人の河江被告が持つ『ハーベスト投資顧問』の代表を緒方被告にし、受け皿会社として活用することになった。また、緒方被告はマスコミの動向にも気を遣っていたようだ》

 検察官「緒方被告はこのとき、他に何か言っていましたか」
 河江証人「『登記が移転された時、移転先が自分になっていると、マスコミとかが大騒ぎするだろうな』と言っていました」

 検察官「マスコミが騒いだらどうすると言っていましたか」
 河江証人「『マスコミが大騒ぎしたので(登記を)元に戻したと(総連に)言えばいい』と」

 検察官「他にはどんな話をしましたか」
 河江証人「満井さんから、投資家に話す(緒方被告の)報酬について1500万と聞いていたので、『矢面に立つ先生が、1500万で大丈夫なんですか』と聞きました」

 検察官「それについて満井被告は何と言っていましたか」
 河江証人「『大丈夫、あなたが心配しなくても、私が考えますから』と」

 検察官「緒方被告は何と言っていましたか」
 河江証人「『満井さんに頼まれて私が神輿に担がれるわけですから、頼みますよ』と話していました」

 検察官「このやりとりを聞いて、緒方被告はいくら報酬をもらうと思いましたか」
 河江証人「私が1億といわれていたので、同等かそれ以上もらわれるんだと」

 《この会合の後、3人は食事へ向かったが、別の用事ができたという満井被告は途中で抜け、残った河江証人と緒方被告は築地の寿司店へ行く》

 検察官「どんな話をしましたか」
 河江証人「私の経歴などです。あと、緒方さんの父親が、私と同じ福岡県の筑豊町出身だったので、その話で盛り上がりました」

 検察官「そこで、緒方被告からお金のことについては何か言われましたか」
 河江証人「はい。『今回の件で動いているお金の件は知ってるんでしょ』と言われました」

 検察官「何と答えましたか」
 河江証人「『はい』と。『前さばきのお金として受け取っていると聞きました。実際に(現金を)見ました』と答えました」

 《河江被告は生々しいやりとりを細かく証言した》
     =(7)に続く

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