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2008年08月26日(火) 11時56分

衆院群馬4区の有権者は衆愚なのかオーマイニュース

 福田改造内閣が発足して3週間が経過した。

 福田自身が「安心実現内閣」と命名した内閣では、中川秀直ら「上げ潮派」が一掃された。官僚がバッジを付けたような「増税派」の与謝野馨・谷垣禎一、「郵政造反組」の野田聖子・保利耕輔らが入閣し、改革逆行に突き進む色合いが濃厚となった。

 改造直後、海外在住の友人たちから、「福田は本気で日本を潰す気なのか?」という問い合わせが私にあった。

 福田の選挙区である衆院群馬4区は、中選挙区制(旧群馬3区・定数4)時代、福田赳夫(故人)・康夫父子、中曽根康弘、小渕恵三(故人)を選出したことで知られる。

 この選挙区内で生まれた私は、大物政治家がひしめき合う独特の雰囲気を感じながら育った。

 私が選挙権を得たのは、小選挙区制が導入され、第41回衆院選が行われた1996年。中曽根は比例北関東ブロックへ、小渕は新設された群馬5区に移り、福田康夫が群馬4区に残った。

 以降、福田は現在に至るまで6回連続当選している。

 福田は、番記者たちから「やりたいことが何もない人」と言われる。今考えれば、初の選挙から18年間、群馬4区の有権者に対し、心からやりたいことを一切伝えてこなかったようにも思えてしまう。

 小泉内閣では、森内閣から引き続き内閣官房長官を務め、小泉の女房役となった。2004年5月に年金未納問題で辞任するまで、官房長官在任日数は1289日となり、群馬4区では、小泉改革の下支え役を果たしたと見られていた。

 今月の内閣改造では、麻生太郎との密約も噂されるが、いずれにせよ、小泉改革を完全否定する閣僚の人選を行ったことは明らかである。「消費者庁」新設に本腰を入れ、官僚の権益拡大に取り組むことも明白だ。

 ここで気になるのは、次期衆院選における群馬4区の有権者の動向である。

 小選挙区制が導入されてから、群馬4区で福田に投票した者の半分以上は、中曽根と小渕の支持者であったと推測される。

 最後の中選挙区選挙となった1993年の第40回衆院選では、小渕が8万9440票、福田が8万3501票、中曽根が 6万5037票を獲得している。小渕支持者の多くは、小選挙区制導入で新設された群馬5区に移ったことを考えれば、中曽根支持者の動向が、群馬4区の次期衆院選を左右する可能性がある。

 2005年に行われた第44回衆院選では、福田が11万8517票を獲得して当選。次点の中島政希(民主党)は5万6364票を得、福田の約半分の票を集めたことになる。

 中曽根支持者に共通する思いは、国鉄・電電公社・専売公社を民営化させたことに関する誇りである。政治手法は大きく異なるものの、小泉改革を中曽根改革と重ね合わせていた者は少なくない。福田による小泉改革の否定は、群馬4区では中曽根の否定にもつながりかねないのである。

 中曽根が政界を退いてから、まもなく5年。群馬4区の有権者が「見識」を示すのか、あるいは世界の笑い者になるのか、次期衆院選から目が離せない。

(記者:長井 利尚)

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