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2008年08月25日(月) 12時00分

中国で『iTunes Store』が遮断——チベット支援アルバムが原因かWIRED VISION

中国政府が、およそ800万曲の楽曲を提供する『iTunes Store』へのアクセスを完全に遮断した。どうやら原因は、『Songs for Tibet』というタイトルのアルバムらしい。

アルバムに収録された楽曲には、「万里のファイアーウォール」(Great Firewall of China)と呼ばれる中国のネット検閲(日本語版記事)を批判する歌詞が含まれている。まさに、この万里のファイアーウォールのせいで、現在中国ではiTunes Storeからこのアルバムを購入することができない。

このコンピレーション・アルバムを発売した米国の非営利団体『アート・オブ・ピース財団』(Art of Peace Foundation)のMichael Wohl事務局長はAP通信に対して、「われわれは、40人を超える(五輪)選手たちがこのアルバムをダウンロードしたことを伝える声明を発表した。それが、今回の措置の引き金になった。その後、すべての楽曲へのアクセスが遮断された」と語っている。

中国で8月21日夜(現地時間)に撮影された上のスクリーンショットは、中国にいるユーザーがiTunes Storeにアクセスしようとすると表示される画面だ。米Apple社の広報担当者は、「中国の問題についてはコメントしない」と回答している。

Apple社は、中国国内で中国語版のiTunes Storeを運営しているわけではない。しかし、Wohl事務局長が先に述べた選手らなども含めて、中国以外の国で運営されているiTunes Storeのアカウントを取得しているユーザーたちは、アクセスが遮断される前には中国国内でこのアルバムを購入することができた。

このアルバム(iTunes Storeへのリンクはこちら)の制作には、Alanis Morissette、Sting、Garbage、Imogen Heap、Moby、Suzanne Vega、Underworldといった有名アーティストが参加している。

アルバムには、亡命したチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世による15分間の談話も収録されている。iTunes Storeの商品説明によると、アルバム販売による収益は、「ダライ・ラマ14世にとって重要な平和推進活動やチベット文化の保護プロジェクト」への支援に利用されるという。

このアルバム(実際にはiTunes全体)をブロックしようとする中国の試みは、このアルバムへの関心を逆に高める、という意図しない影響を生み出しうるものだ。

このアルバムは8月第1週のロックアルバム売上げにおいて第1位になった。プロモーションビデオは以下。

『Guardian』紙によると、中国政府は、好ましくないと見られるオンライン・コンテンツを発見してアクセスを遮断するために、およそ3万人を雇用しているという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080825-00000000-wvn-sci