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2008年08月23日(土) 14時05分

「コンドロイチン」サプリメント 基準なく不適切商品も産経新聞

 ■少ない含有量、異なる原材料…

 軟骨を形成する成分の一種「コンドロイチン」を含むサプリメントは、関節痛などの改善を期待する人に人気が高い。ところが、国民生活センターが調査したところ、含有比率が極めて低かったり、原材料が表示のものと異なったりする商品があることがわかった。背景には、健康食品サプリメントに表示などの統一基準がないこともある。(日野稚子)

 「年齢とともに減少してしまう」「中高年におすすめ」。サメ軟骨抽出物を原料にした「コンドロイチン硫酸」を含むサプリメントに、よくあるうたい文句だ。

 サメ軟骨由来のコンドロイチン硫酸は元来、医薬品の原材料として使われていたが、昭和50年代後半に健康食品の原料に使われるようになった。エビなど甲殻類に多く含まれるアミノ酸の一種「グルコサミン」を加えた商品が登場したことで「リピーターも多く息の長い商品」(健康食品メーカー)になったという。

 しかし、国民生活センターと全国の消費生活センターには、平成15年4月からの約5年間で約1200件の苦情相談が寄せられた。「本当にサメ由来なのか」「本当に関節にいいのか」など品質・機能に対する苦情が約4分の1の329件を占める。「サプリメントは医薬品と同じ成分が入っていても自己責任で使うのが基本。そのため不安を感じる人も多い」と同センター商品テスト部調査役の宗林さおりさんは指摘する。

 このためセンターは、コンドロイチン硫酸を含むサメ軟骨成分の含有量が、一般医薬品の1日摂取目安量(最大900ミリグラム)を超えた18製品を調べた。

 サメ軟骨成分に含まれるコンドロイチン硫酸の比率を調べたところ、15〜25%程度のものが多く、最大でも約35%、最少は約0・4%しかなかった。

 さらに、コンドロイチン硫酸の化学組成を分析したところ、「サメ軟骨由来」とだけ表示しながら、鶏や豚など哺乳(ほにゅう)動物由来のコンドロイチンが含まれる疑いがあるものが、わかっただけで3社の3商品あった。「JAS法違反の可能性が高い」と宗林さん。3社は、原材料メーカーを調査したり、再検査などを行ったりしているという。

 主原料をサメ軟骨成分ではなく「コンドロイチン硫酸」と表示しながら、実際は含有率が低く「景品表示法上問題がある」と指摘された商品も複数ある。このうち、店頭から回収を始めたメーカーは「原材料はコンドロイチン20%含有のサメ軟骨抽出物で、記載を誤った。表示を改めて再発売したい」としている。

 センターが問題視するのは、原材料名とコンドロイチン硫酸量の表示の関係だ。サメ軟骨成分を主原料と表記する15商品には、いずれもコンドロイチン硫酸含有量の記載はない。

 日本健康・栄養食品協会の林祐造理事長は「例えば“サメ軟骨抽出物”という表示の方が、医薬品と思われる心配がないというメーカー心理があったのではないか」と話す。しかし、センター側は「“サメ軟骨抽出物1000ミリグラム”と表示しても、コンドロイチン硫酸の含有量は示していない商品が多い。消費者が誤認するような表示はよくない。コンドロイチン硫酸の含有量をきちっと表示しているメーカーもあるのだから、業界として足並みをそろえるべきだ」(宗林さん)強調する。

 あるサプリメントがブームになった際、自社の実験数値を他社に無断使用された経験がある健康食品会社の幹部は「消費者のためには、国が定める保健機能食品ではない健康食品としてのサプリメントも、成分や表示に基準があるべきだ。その方がメーカーのためにもなる」と話す。

 厚生労働省の検討会が先月まとめた報告書では、原材料や製造工程の安全性確保のため、健康食品に第三者認証制度の導入を提言している。今回のセンターの調査結果は、新たな基準作りを後押しするきっかけになる可能性もありそうだ。

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