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2008年08月22日(金) 13時40分

ここにもあった、社会保険庁の怠慢(上)オーマイニュース

 国民年金の納付方法のひとつに「前納」があることは、ほとんどの加入者がご存じのことと思う。

 記者も、かなり前から知っており、何度か利用したことがある。1カ月ごとに納付するよりも、1年分、あるいは半年分をまとめて納付期限以前に支払うことで、手間もさることながら納付金額の割引が受けられるからだ。

 具体的には、2008年度(平成20年度)の場合、1カ月分が1万4410円で、1年間で17万2920円となるところが、1年分前納した場合には現金支払いで年間3070円、口座振り替えで3620円の割り引きになる。金利が低迷する中で1.7%以上の割引率というのはかなりの魅力で、「余力あれば利用したい」と思う人も多いはずだ。

■2008年度からスタートした「クレジット納付」

 納付方法に今年は「クレジットカード」が新たに加わっていた。

 このところの不祥事で、社会保険庁も“国民の声に応える”サービス体制づくりに、以前よりも迅速に努め始めた結果に違いない。

 かねてよりクレジットカード納付を希望していた記者はそう評価し、「現金で1年分前納した場合と同額の割引がある」という「1年分支払いの前納」を申し込んだ。

 口座振り替えよりも割引額は少ないが、クレジットカードのポイント還元という特典に引かれたのだった。

 そして翌3月、「承認」のお知らせが届き、クレジットカードの振替口座の金額を確かめた上で、完全に「ほっ」としていた記者だった。

 ところが、5月に入り、「クレジットカードからの引き落としができなかったので、同封の納付書で納付してください」という旨の案内が、社会保険事務所から届いた。

 調べた結果、カードの限度額の設定が原因だった。限度額の設定を確認しなかった自分のミスは明らか。案内にも、「ご注意ください」の注意書きがあることを見直して気付いたが、後の祭り。

 申し込みにあたり、「クレジットカード納付を導入しました」、「ご希望の場合は、お近くの社会保険事務所へお申し込みください」とあり、「つながりにくい電話をかけ→申込書を取り寄せ→記入して発送する」という決して容易とは言えない手間をかけていただけにショックは大きく、反省した記者だった。

■多様にあった「前納」のパターン

 ならばせめて、後半の半年だけでも前納できないだろうか? すでに確保してあった1年分の納付金を少しでも有効に使おうと考えた記者は、地元の社会保険事務所に電話をかけた。

 30分以上もリコールした末に、ようやくつながった年金ダイヤルのオペレーターの女性は、事情を把握した後、次のように答えた。

 「それでは5月分から来年の3月分まで11カ月間の前納として、納付書を発送します」

 一瞬、開いた口がふさがらなかった記者だった。前納に、「半年」と「1年」以外があったなど、初めて知ったからだ。

 「はい、確かに案内書では“6カ月”と“1年”しかないのですが、お客さまのように個別にご相談された場合には、11カ月だけではなく、いろいろなパターンを状況に応じて案内させていただき、専用の納付書を発行させていただいているのです」

 「11カ月前納」という、いい意味でまったく期待していなかった収穫を得たうれしさもつかの間、すぐに落胆し、憤慨がわき上がってきた。個別に相談した人にだけ提示する「特別サービス」など、少なくとも国民年金制度にあってはならないはず、だからだ。

(記者:下平 真弓)

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