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2008年08月18日(月) 02時01分

<糖尿病>「2型」発症関連遺伝子 理研など2チームが特定毎日新聞

 日本人の糖尿病患者の95%以上を占める2型糖尿病の発症に深くかかわる遺伝子を、国立国際医療センターなどと理化学研究所などの日本の二つの研究チームが特定した。この遺伝子のDNA塩基配列に特定の変異がある場合は、ない場合に比べて発症の危険性が約1・4倍になるという。2型糖尿病発症に強く関連する遺伝子が、日本人で特定されたのは初めて。17日付の米科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」に、それぞれ発表した。

 国立国際医療センター研究所の安田和基・代謝疾患研究部長は「この遺伝子だけが原因ではないが、変異のある人は生活習慣の見直しに積極的に取り組むことによって、発症予防につながる可能性がある」と話している。

 2型糖尿病には、生活習慣の乱れなどの環境要因に加え、糖尿病になりやすい遺伝的体質がかかわっていると考えられている。欧米人では十数種類の関連遺伝子が見つかっているが、肥満の度合いの少ない日本人では発症の仕組みが異なるとみられている。

 二つの研究チームはそれぞれ、数千人規模の日本人のDNAを詳しく調べ、心拍や腸管の水吸収などに不可欠な「KCNQ1」という遺伝子の変異が、2型糖尿病の発症に深くかかわっていることを発見した。日本人の8〜9割がこの変異を持つと考えられるという。また、理研の前田士郎チームリーダーらの試算では、日本人患者の2割はこの遺伝子の変異が原因だという。

 研究チームの分析によると、この遺伝子変異は、血糖値を調節するインスリンの分泌低下を招くとみられる。【永山悦子、西川拓】

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