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2008年08月18日(月) 00時29分

白昼に陳情者を拘束・連行 中国当局、五輪の陰で力ずく中国新聞

 【北京17日共同】五輪開催中の北京で十七日、夫の逮捕・投獄が不当だとして陳情のため中国河北省から来ていた女性が、最高人民法院(最高裁)陳情受付所近くの公道で、複数の公安当局者に拘束され、力ずくで警察車両に引きずり込まれて連れ去られた。取材中の共同通信記者が目撃した。

 中国政府は世界の目が集まる五輪期間中に、陳情者が政府に対して抗議行動などを起こすことを警戒。「安定」をアピールするため、五輪の陰で力ずくの取り締まりを徹底している実態が明らかになった。

 女性は、河北省の公安当局者が追ってきたことを察知、人目の多い環状線の歩道に他の省から来た陳情者らと座っていた。同日午後一時二十分(日本時間同二時二十分)ごろ、突然五、六人の私服警官に口を手でふさがれた上、手足を持ち抱えられて黒色の乗用車の後部座席に引きずり込まれた。わずか十秒ほどの“拉致劇”だった。

 関係者によると、女性は河北省の公安当局による夫の「不法逮捕事案」に関する陳情のため、北京を訪れていた。女性は、裁判なしで行政判断により最高三年拘束される労働教育処分を受ける可能性がある。

 連行現場にいた河南省出身の女性は「何が調和社会だ。暗黒社会そのものだ」と憤った。

 同陳情受付所周辺には今も陳情者約百人が滞在。簡易宿舎などに対する当局の取り締まりが厳しいため、公園や地下道などで生活しているという。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200808180052.html