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2008年08月15日(金) 08時26分

新興不動産の苦境深刻 資金繰り悪化と販売不振が直撃フジサンケイ ビジネスアイ

 新興不動産会社の苦境が深刻化してきた。6月のスルガコーポレーション、7月のゼファーに続き、13日には東証1部のアーバンコーポレイションが経営破(は)綻(たん)し、信用不安が連鎖的に広がっているためだ。米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン問題の余波で、金融機関の融資姿勢が慎重になっていることに加え、マンション販売不振のダブルパンチが資金繰りの悪化に拍車をかけている。

 14日の東京株式市場では、アーバンの破綻を受け、新興不動産株が軒並み安となった。

 サンシティが前日比400円安の2305円、フージャースコーポレーションが1000円安の7790円、創建ホームズが1000円安といずれもストップ安で取引を終えた。不動産ファンド運用のダヴィンチ・ホールディングスも3000円ストップ安の2万3150円まで売り込まれた。

 ダヴィンチが14日発表した2008年6月中間連結は、経常損益が前期の233億円の黒字から24億円の赤字に転落し、関連業界の苦境を浮き彫りにした。

 不動産経済研究所が同日発表した7月の首都圏マンション市場動向でも、新築マンションの発売戸数が前年同月比44・5%減の3554戸と大きく落ち込んだ。前年割れは11カ月連続。契約率も20・6ポイント減の53・5%と、好調の目安とされる70%を大きく下回り、6カ月ぶりに50%台に低迷した。

 販売不振は、不動産会社が在庫処理を優先し新規発売を抑えていることに加え、資材高騰による建築費上昇で着工を手控える動きが強まっていることが原因だ。さらに同研究所では「新興不動産の相次ぐ破綻で業者への不安が高まっていることも一因」と指摘する。

 「不動産市況が悪化したのは昨年秋。今年に入り、金融機関の融資が厳しくなった」

 13日、東京証券取引所で会見したアーバンの房園博行社長は、破綻の理由をこう説明した。

 融資の厳格化について、みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナリストは「業歴の浅い業者は、金融機関の融資をつなぎとめるためアピールできる実績がない」と指摘する。

 金融機関は不動産融資の際、業者の信用力と保有物件の内容をチェックするが、大手銀行幹部は「需要が減退しているのに価格は高止まりしており、売却の見込みは薄い。経営の先行き不安が強く、融資を見送る事例が増えている」と明かす。

 日本の不動産への投資を活発化していた外資系投資ファンドも、金融機関から資金の蛇口を閉められ、投資案件から資金を引き揚げ始めていることも、ダメージとなっている。

 業界では「建築費の決済期間の短縮や手形の拒否など、疑心暗鬼が広がっている」(関係者)という。

 株価下落で信用不安が一段と高まれば、資金繰りに行き詰まり、連鎖倒産に発展する懸念もぬぐえない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080815-00000001-fsi-bus_all