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2008年08月14日(木) 08時19分

1年ぶりマイナス成長 コスト高騰+売り上げ低迷 苦しい企業経営産経新聞

 約1年ぶりのマイナス成長となった4〜6月期の国内総生産(GDP)速報。原油や原材料価格の高騰に伴う物価高が、家計や企業に深刻な影響を及ぼしている姿が浮き彫りになった。消費者は生活防衛意識を強め、消費を手控える姿勢を見せ始めた。消費低迷と原材料高騰のダブルパンチを受け、企業は厳しいかじ取りを求められている。

 「35歳以上の女性の購買量が減っている。家計を預かる主婦の財布のひもが固くなっているのではないか」。こう指摘するのは日本ケンタッキー・フライド・チキンの渡辺正夫社長だ。全体の40%を占める郊外のドライブスルー店舗の落ち込みが激しいという。

 4〜6月期に個人消費が落ち込んだ理由として、政府は飲食・サービス分野での“節約消費”を挙げた。車での買い物は1カ所に抑え、総菜などを買って自宅で食べる「内食」の傾向が強まっている。路面店が多いファミリーレストランは小麦などの食料価格の高騰に伴うコスト増に加え、ガソリン高で客足が遠のく。業界最大手のすかいらーくでは来店客の減少が社長解任にまで発展したほどだ。

 ガソリン高は、自動車の販売を直撃している。

 日本自動車販売協会連合会などの調べでは、今年1〜6月の新車販売台数(含む軽自動車)は前年同期比1・9%減。3年連続の前年割れに、「自動車の購入意欲が落ちている」(ホンダの近藤広一副社長)との嘆き節も聞かれる。

 鋼材など原材料費の高騰を背景に、トヨタ自動車は「昨今の原材料費値上がりは膨大」(木下光男副社長)と、一部車種の国内値上げの最終調整に入った。トヨタが値上げすれば、日産自動車など競合他社も追随する可能性が濃厚だ。

 一方、製品の値下げ競争が激しい電機業界では、原材料高を価格転嫁できず、コスト増による企業収益の圧迫が顕著だ。日立製作所は年間400億円と見込んだ原材料費高騰の影響を600億円に引き上げた。中村豊明専務は「8月以降(の市況)もまだ分からない」と経営環境の悪化に深刻な懸念を示している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080814-00000055-san-bus_all