記事登録
2008年08月14日(木) 11時15分

外国人には、「電車体験」を聞いてみようオーマイニュース

 英会話を習う人は多いですが、実際に居酒屋などに行って話すことになった場合、みなさんどんな話をするでしょうか。

 姓でご理解いただけると思いますが、筆者は外国人と結婚しました。そんな筆者が、主人の知り合いと話をしなくてはならなくなってしまったとき、会話のネタとして最近よく使うのが、「日本で遭遇したビックリ体験」は何? と聞くことです。

 大概皆さん何がしかの驚くべき体験をしています。なかには「えー、こんな話、本当に会ったばかりの女性にしていいの?」といって躊躇する人もいますが、1度語り始めると堰を切ったように饒舌になってしまう人もいます。

 そうなってしまえばこっちのもの、必要なのは「すご〜い」と「それでどうなったの?」ぐらいの語彙の相づちだけ。

 自分はゆっくりをお酒を飲みながら、自分のおかしな英語で相手をイライラさせることもなく、普段聞けない話を楽しめます。相手も不条理な経験を人に話せて少しすっきりしているに違いありません。

 ネタの効き加減が都市部に限られてしまうかもしれませんが、特に使うネタは「電車で遭遇した信じがたい体験」です。

 よく聞くのは、「いきなり女の子にナンパされたこと」とか、「どんなに混んでいても本を読み続ける人がいること」。

 最近増えたのが「どんなに混んでいても携帯を使い続ける人がいる」「じっと見つめられる。こちらが何をしても表情を変えずに見つめ続けられる」「混んだ電車で浮浪者に目をつけられて、ずっと何やら話しかけられる」

 こんな話を聞くたび、電車のなかの乗客が、同じ日本人である私に対して見せるのとはまるで違った表情を持っているんだな、と実感します。

 相づちばかりうちながら、頭にうかぶのは、じつは、同じ日本人でも変な電車体験をしている人がいるということです。

 先日、TVで衝撃の電車体験を特集していて、それを見て確信しました。自分が変な体験をしないのは、単に自分が常に視線を落としてカラに閉じこもっているからなのかもしれません。

 筆者だけでしょうか。長年の乗客生活を通じて1人で乗るとき電車ではなるべく人と視線をあわせないよう努力します。吊り広告・本・新聞を見るか、うつむき加減にして、最大限の努力で自分の存在を消そうとするかのようです。

 とくに悲壮感をこめて、こう言っているわけではありません。これは一種の「生活の知恵」です。

 外国人の彼らは、視線を挙げてまわりを見ているのでしょう。

 残暑の季節、ビアガーデンなどで外国人と話す機会があったら、英会話的に楽をしつつ、笑いと涙とちょっぴり考えさせられる話題のネタに、電車体験を聞いてみてはいかがでしょうか。

(記者:ヒルトン 香織)

【関連記事】
ヒルトン 香織さんの他の記事を読む
【関連キーワード】
電車
外国人

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080814-00000002-omn-peo