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2008年08月13日(水) 11時08分

今年も注目したい、甲子園準決勝の対戦カードオーマイニュース

 今年の高校野球も目が離せない。北京オリンピックに負けないほど連日に渡って高校球児による熱戦が続いている。

 だが一方で、私は昨年(2007年)の記事 「夏の甲子園、準決勝対戦カードにおける抽選の是非」 をきっかけに、準決勝の対戦カードという1点に注目し続けている。

 準々決勝の日程は2003年まで1日で4試合一気に行われていた。強豪8校によって朝から日の沈む頃に渡って熱戦が繰り広げられることから、

 「(観戦するには)準々決勝が一番面白い」

と言われていた。

 それが2004年からは、準々決勝戦を1日2試合ずつの2日間に分けて開催されるようになった。ところが、準決勝の対戦カードは新たな抽選で決めるため、準々決勝の日程が異なる高校同士で対戦する場合が出てくる。その結果どうなったかというと、今までのケースでは、先に準々決勝を終えた方が6戦6勝と、全勝しているのだ(表1)。

[表1]準々決勝の日程が異なった対戦となった場合の、準決勝の試合結果。左側が準々決勝を、対戦相手よりも早い日程で終えた高校。○は勝

2004年夏
○済美(愛媛) 5−2 千葉経大付(千葉)
○駒大苫小牧(南北海道) 10−8 東海大甲府(山梨)

2005年夏
○京都外大西(京都) 10−8 宇部商(山口)
○駒大苫小牧(南北海道) 6−5 大阪桐蔭(大阪)

2006年夏
○広陵(広島) 4−3 常葉学園菊川(静岡)
○佐賀北(佐賀) 3−0 長崎日大(長崎)

 準々決勝の日程が同一となった高校同士で準決勝を対戦する場合、決勝戦の対戦成績は3勝3敗と有意な差は見られなかった(表2)。これは、準決勝の日程が同一であったという条件が大きいと考えられる。

[表2]準々決勝の日程が異なった対戦となった場合の、決勝の試合結果。左側が準々決勝を、対戦相手よりも早い日程で終えた高校。○は勝、●は負

2004年春
●愛工大名電(愛知) 4−5 済美(愛媛)

2005年春
○愛工大名電(愛知) 9−2 神村学園(鹿児島)

2006年春
○横浜(神奈川) 21−0 清峰(長崎)
(準々決勝2試合後、準決勝まで1日休み)

2006年夏
●駒大苫小牧(南北海道) 1−1 → 3−4 早稲田実(西東京)
(引き分け再試合)

2007年春
○常葉学園菊川(静岡) 6−5 大垣日大(岐阜)

2008年春
●聖望学園(埼玉)0−9 沖縄尚学(沖縄)

 このことは昨年の夏の甲子園が終わってから気づいたのだが、今年も例年と同じく準決勝の抽選カードを抽選で決めることになっている。そこで、(財)日本高等学校野球連盟の大会本部に問い合わせてみることにした。

——─準々決勝戦を2004年から2日間に分けて行うようになった理由は何ですか?

 短時間の試合で連戦連投を避けるためです。

——─準々決勝の日程を先に終えた方が、準決勝では6戦6勝です。これは選手が連戦で疲れているためだと思われますが。

 そうなんですか。私もそこまでとは知りませんでした。1番いいのは、準決勝の前に、完全に1日空けることなんでしょうけれどねぇ。おっしゃる話は意味もあるし、重要であると思いますので、今回の意見を高野連の方にもお伝えして検討したいと思います。

——─私の個人的な意見としては、準決勝の対戦を準々決勝の日程に合わせて固定すれば、解決する話だと思うのですが。

 そうですね。大会の方針については高野連と朝日新聞の方で検討することになるのかと思います。いずれにしても、今の方針で続けてですね、ある傾向が見えてくるようであれば、それに応じて大会の方針も変える必要があると思います。

——─ 試合が終わってから言い出すと、後味が悪くなると思いましたので、こうして準々決勝が始まる前に伺うことにしたのですが、私としては試合の有利不利よりも、選手や監督のみなさんの無理がたたってしまうことの方が心配です。今回の大会はともかくとして、今後は是非検討してください。

 そのお気持は私にも分かります。いずれにしても、今年の夏の大会の抽選・試合結果にかかわらず、今回のご指摘は選手生命にもかかわる大変貴重なものですので、きちんとお伝えします。この度はご意見ありがとうございました。

  ◇

 さて、今年の準決勝の対戦カードはどうなるのだろうか?

 準々決勝の日程が同一となった高校同士で対戦して欲しいのが私の本音だ。

 仮に異なってしまった場合、6戦6勝というジンクス? に打ち勝つ高校が現れることに期待したい。

 そのためには、連戦に渡る体力維持が欠かせないであろう。ただ、猛暑の度合いが年々増す一方で、対策は限られてきている。

 日本高等学校野球連盟は、世界反ドーピング機構 (WADA: World Anti-Doping Agency)が定めた禁止事項(PDFはこちら)に倣って、高圧酸素カプセルの使用を控えるように加盟校に通知した(PDF)。

 いずれにしても、将来の選手生命に支障が出ないためにも、選手個人の体調管理だけでなく、今回の取材を機に大会方針にも工夫や改善が今後さらに進むことを望みながら、今年の夏の甲子園の準決勝の試合に注目したい。

(記者:有吉 慶介)

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