記事登録
2008年08月11日(月) 03時02分

福知山線事故、兵庫県警が全遺族宅を訪問し送検内容通知へ読売新聞

 兵庫県尼崎市で2005年4月に起きたJR福知山線脱線事故で、兵庫県警は、JR西日本の山崎正夫社長(65)ら歴代幹部を業務上過失致死傷容疑で書類送検する前に、犠牲になった106人の全遺族宅を訪問し、送検内容を伝えることを決めた。

 562人の負傷者には手紙で伝える。遺族らの被害感情に配慮した措置で、県警は今月下旬にも実施し、9月に書類送検する方針。こうした事前通知は、全国初の試みになる。

 捜査関係者によると、送検するのは、山崎社長ら9人と、死亡した高見隆二郎運転士(当時23歳)。遺族らに伝えるのは、送検対象の幹部名、容疑事実など。

 刑事訴訟法47条は、訴訟に関する記録を公判前に公開することを禁じている。しかし、条文に「公益上、必要な場合または相当な理由があれば公開できる」とのただし書きがあることや、被害者が刑事裁判に参加できる制度が今秋にも始まることから、事前通知を決めた。

 県警は、1996年12月の現場カーブ付け替え時に、自動列車停止装置(ATS)を設置せず安全対策を怠った過失を最も重視。当時、鉄道本部長だった山崎社長や前任の元JR四国社長ら計5人について、送検時に付ける4段階の情状意見のうち、起訴を前提とした「厳重処分」に次いで重い「相当処分」の意見書を付ける。

 他の4人は、JR西日本がATS整備を決定した03年9月当時、鉄道本部長だった元専務ら。県警は、被害者らの告訴を受けて送検するが、96年時点でATSが設置されていれば事故を防げたことから、起訴を求めない方針。

 神戸地検は起訴の可否について慎重に検討する。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080811-00000001-yom-soci