記事登録
2008年08月09日(土) 10時00分

【トレンド】ジョン・ウー監督が自腹で10億円を注ぎ込んだアジアの超大作『レッドクリフ』を熱く語る!!nikkei TRENDYnet

 8月6日、六本木にてジョン・ウー監督の歴史大作『レッドクリフ』の記者会見が行われた。監督のジョン・ウーをはじめ、主演のトニー・レオン、金城武、中村獅童など出演陣が集結。超満員の報道関係者が会場を埋め尽くした。

【詳細画像または表】

 日本でもファンの多い中国の英雄伝「三国志」。その中でも最大の決戦といわれる“赤壁の戦い”を描いた本作は、北京五輪の開催に合わせ、中国や日本、台湾、韓国などが手を組んで、約100億円の製作費を投じたアジア映画最大のビッグプロジェクトだ。

 7月10日より、中国、香港、台湾などで公開され、8月4日現在で中国での興行収益は4000万ドル(約44億円)を突破し、中国映画としては史上最大のヒットを記録している。

 監督は、『フェイス/オフ』(1997年)、『M:I-2』(2000年)で世界的なヒットを飛ばし、ハリウッドで成功を収めたアクションの巨匠ジョン・ウー。「今までハリウッドや香港から様々な作品を日本に持ってきているが、これほど大きな注目を浴びることはなかった。とても感動している」と感無量の様子で会見の挨拶をした。

 「三国志」の映画を撮るのは、20年来の夢だったというウー監督。「私はこの作品に非常な思い入れがあったので、いかなる困難も克服できると思っていました。天候の問題や予算オーバーという困難もありました。ハリウッドの場合は、このシーンでオーバーした分は、他のシーンで削るという具合に調整しますが、そういうやり方をしたくなかった。私はスタッフとともに全シーンにおいて丹念に準備を進めていたので、妥協はしたくなかった」と語る監督自身、追加撮影のために“自腹”を切ったという。

 「日本でヒットしてくれれば、回収できます(笑)」と冗談で映画をPRしたが、その“自腹”の額は10億円。まさに富と名声すべてをかけた渾身の一作といっていいだろう。

 本作で描かれた“赤壁の戦い”とは、圧倒的な強さを誇り、隣国の征服を企む曹操(そうそう)軍に対抗するため、劉備(りゅうび)軍と孫権(そんけん)軍が同盟を組んで立ち向かう決戦のこと。80万の兵士を擁する曹操の前に、5万の軍でどう立ち向かうか。

 「強い敵に挑むには友情が不可欠です。それはこの作品のメインテーマでもあります」とウー監督が語るとおり、本作では知恵と勇気を振り絞りながら強大な敵に挑む男たちの熱き友情物語が展開。未曾有のスケールで“友情と勇気の伝説”を蘇らせている。

 ジョン・ウー作品には3度目となる孫権軍の知将・周瑜(しゅうゆ)役のトニー・レオンも「これほどエネルギーを必要とする映画は今までなかった」と明かすほどの力作となっている。

 また、日本から単身出演した中村獅童も現場のスケールに圧倒されたという。「驚きの連続でした。ロケ撮影をした城にしても、似たような場所を見つけて撮影するのかと思ったら、この映画のために作ったものでした。さらにエキストラも何千人単位。中国の広い大地の中での撮影は、本当にビックリすることばかり。アクションシーンも、10台以上のカメラで撮影していました。それはもうすごい迫力となって映像に現れていると思います」と語った。

 また、中国史上最も有名な人物、諸葛亮 孔明(しょかつりょう こうめい)を演じた金城武は、「三国志ファンはもちろん、そうでない方もジョン・ウー監督の世界観、ロマンやアクションを十分に楽しめると思います」とアピールした。

 アジア映画史上、最大の規模で描かれた歴史大作の見どころについて、ウー監督は「この作品を通じて描いたのは、愛、友情そして勇気です。そしてもう一つ注目してほしいのは配陣ですね。書物の中で登場する歴史的な兵法を再現しています」と答え、「これはアジア各国の力でハリウッドに匹敵する映画が作れるのだと証明した作品です」とこの作品にかける情熱と自信をうかがわせた。

 香港からさらなる夢を求めて映画の都ハリウッドに渡ったウー監督は、本場の製作手法と技術を手土産に故郷中国に帰ってきたといえる。香港もハリウッドも知り尽くした監督の次なる野望は、ハリウッド映画を超えるアジア映画なのだろう。

 映画界の一つの目標に、映画史上最大のヒット作『タイタニック』超えがある。中国の最大興収記録もやはり『タイタニック』の4400万ドルだが、本作はすでに4000万ドルを獲得しており、その記録に迫る勢いだ。

 さらに破竹の勢いを受けて、第21回東京国際映画祭(10月18日開幕)のオープニング作品に決定。アジア映画の威信をかけた伝説のドラマが、11月1日より日本で公開される。

(文/柏木しょうこ)

【関連記事】
  北京五輪より熱い!? スポ根コメディー『俺たちダンクシューター』
  歴代1位も見えた『ダークナイト』がケタ外れのヒットを生んでいる理由とは?
  夏の映画特集 5つのテーマで14本の注目映画を紹介 第3弾は「知っておきたい単館系映画」
  『ハプニング』の次はアニメ実写版だ! 実はポニョが好き? シャマランを直撃!
  3年ぶりの主演となるミムラが引っ張る落語映画は“真打”になれるのか!?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080809-00000003-nkbp_tren-ent